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海 4
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綾瀬さんに教えてもらった岩場の近くまで来たが、水面に優の姿は見当たらなかった。
潜って水中を探すが遠くまではよく見えない。
優!どこにいるの…!?
泳ぎながら探し続けていると、耳にかすかにゴボッという泡の出る音が届いた。
バッと音の方を見ると、大きな水泡が水面に向かって上がるのが見えた。
急いでそこに行くと、海底に、地面に足を取られて脱力した優の姿があった。
その姿にドクンと心臓がなるが、頭はなんとか冷静さを保っていた。
一度水面に上がり空気を思い切り吸い込んで深く潜る。
優の意識はないようだった。
急がないと…!
優の足を見ると、大きなシャコ貝に挟まれていた。足首には擦り傷がたくさんできて、血が出ている。
キツく挟まれている訳ではないようなので、優の足の向きを変えて、足首を伸ばしながらそっと抜くと、無事シャコ貝から解放させることができた。
意識のない優を抱え、急いで水面に上がる。
「くはっ!優!優!!」
名前を呼んでも反応はない。
グッタリと俺の胸に頭をもたげる優の口元に手を当てたが、呼吸を感じることができなかった。
「…っ!」
うるさいくらいに自分の鼓動が聞こえてくる。
落ち着け…落ち着け…!
そう自分に言い聞かせながら浜に戻り、優を仰向けに寝かせた。
顎を上げて気道を確保、左手で鼻をつまみ、右手は顎に添える。
中学の時授業で習った人工呼吸のやり方を必死に思い出しながら、唇を重ね、優の肺に自分の呼気を送る。
「がはっ」
何回か繰り返し空気を入れると、優が水を噎せながら吐き出した。
ホッとした瞬間、
景色が暗転した…
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