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病院 3
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病院に着き、診察室で俺と優は医者と向かい合って座っていた。
レントゲン写真を見ながら医者が口を開いた。
「骨にヒビが入っています。
少し大きめのヒビですし、しばらくは安静に。松葉杖で歩くことになりますが松葉杖の経験は?」
医師の質問にないと答え、諸々の説明をされる。
「____ではお大事に」
「ありがとうございました」
横開きのドアの前で2人で頭を下げ、診察室を出た。
「松葉杖、大丈夫か?」
「うん」
「まだ痛むか?」
「いや、固定してるから大丈夫」
「そうか」
俯いたままの優にかける言葉に迷う。
落ち混んでる…のか…?
受付を済ませて、俺たちはホテルへの帰路についた。
俺は優のペースに合わせて歩こうとしたが、優は松葉杖なのに俺の少し前を無理に速く歩こうとしている。
「おい、ゆっくりでいいから。転ぶぞ」
「ん、ごめん」
何で謝ってるんだよ…
優の顔を見ると、眉を寄せて今にも泣きそうな顔をしていた。
「…足、痛いのか?」
「…いや、痛くない」
「じゃあなんでそんな泣きそうな顔してんだよ」
少しの間流れる沈黙。
ほんの少しなのにずいぶん長く感じた。
そして、優は口を開いた。
「…俺何やってんだろって思って…
調子乗ってカッコつけて綾瀬さんのネックレス探して、溺れて、翔に心配かけて、風呂で倒れて…
今だってわざわざ病院に連れてってもらって、鏡に迷惑かけまくってる…
本当、俺馬鹿だなぁ…」
ハハハ、と乾いた笑いをする優に、俺は呆れたように溜息をついた。
「そうだな、すげえ馬鹿だわ、
んなことで悩んでるなんて。
…お前のおかげで、綾瀬さんのネックレス見つかったんだろ。
綾瀬さんを笑顔にしたんだろ。
それだけでも十分じゃねえか。
それに俺は迷惑だなんてこれっぽっちも思ってねえよ」
ぶっきらぼうに言ったのに、優は振り返って目を丸くし、頬を緩ませた。
「…ありがと、鏡…」
優の目には少し涙が浮かんでいた。
夕日に照らされたそれはあまりに綺麗で、一瞬息が止まる。
「…あ、あ〜、言うの忘れてたけど、今回は最初から翔に見せてるからな」
「え!?」
「だって人口呼吸の状況で意識なくなるとか心配すぎるだろ」
「そりゃそうだけどもっと早く言ってよ!
俺なんか失言しなかった!?」
「あー、多分な」
「た、多分って…ぇー…」
いつもの優に戻ったな。
「ヤる時はどうする?」
「!!見っ…見せないでください…
さすがに恥ずかしすぎる…」
「了〜解」
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