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謝
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トイレから出ると、翔が電話の前でメニューを見ていた。
「あ、優、朝飯っつってももうすぐ昼だけど、何食べたい?」
トイレから出た俺に気づいて聞いてきた。
そうだなぁ、まあ別になんでもいいや、安けりゃ。
「和食で一番安い定食でいいよ、そういや拓哉は?」
「優が風呂出て寝た後、みんなとショッピング行ったよ」
「あー、そういやそういう予定だったな。
翔は本当に行かなくてよかったのか?」
「優も怪我して行けないし、俺もパスしちゃった」
「…ゴメン」
「いやいいよ!買い物ってそんな好きじゃないし、どうせ女子の荷物持ちにされんのが落ちだろうしね」
「いや、それだけじゃなくて…」
そういえばまだちゃんと言ってなかった。鏡に戻ったら言えって言われたのに。
「海で、心配かけて、ごめん」
少しだけ、流れる沈黙。
すると翔は俺に歩み寄ってぎゅっと抱きしめてきた。
「…俺たちに、家族はいない。
もし、たった一人の家族で…恋人の優がいなくなったら、俺はもう生きていけない。生きていたくない。
だから危険なことはしないで…
あんまり危なっかしいと、俺は優を閉じ込めてしまうかもしれない…」
普通の人が聞いたら重すぎる愛を拒むかもしれないような言葉。
でも俺は、その重さが心地よかった。
俺も同じくらい、翔のことが好きだから。
俺だけの一方的な愛ではないことが嬉しいから。
翔に負けない力で抱き返す。
「ごめんな、これからはもう危ないことはしない。俺も翔を失いたくないから。
あと、助けてくれて…ありがとう」
顔を上げて言うと、翔は綺麗な笑みを浮かべて
「どういたしまして」
俺の額にキスを落とした。
俺は思わずまた下を向いてしまう
「飯、頼も!腹減った!」
この二日間で俺の顔は何回沸騰すれば気が済むのだろうか…
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