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流されて、キスとかしちゃだめだよな。
好きな人とするべきことだ。
「マスター…からかわないでください」
はっきりと拒否することができなくて、冗談みたいに軽く受け流そうとした。
でも、マスターの顔をみると全然冗談なんかじゃなくてむしろ本気の本気って顔していた。
おれだって…もう分かってる。マスターがおれの事真剣に思ってくれてることくらい気づいてる。だって、ただでさえおれは男だし…マスターはもともとは普通の人だったから。
男を軽い気持ちで好きなんて言う人じゃない…と思うから。
「からかってなんかいない」
マスターの低い声が響く。わかってます。
「理汰くん…」
なんでそんなに甘く囁けるんだ。
「やめて、ください…」
俺もなんでこんな弱々しい声しか出ないんだろう。絆される、ってこういうことなのか?顔まで熱くなってきた。どうしよう。
「理汰くんこそ、からかってるでしょ…俺のこと」
「そんな…!」
「じゃあ本当に嫌なら態度でもちゃんと嫌がってよ。…本気で嫌がってるように見えない」
ぎくっとした。図星です。自分でも気づいてますもの。心の底では嫌がってなんかいない……むしろ……
むしろ?
「本当に、いや?」
ぐっと距離を詰められて、さらにマスターの顔がはっきりと見える。
「……」
言葉が喉で絡まって出てこない。嫌…なんて、言えない。言えないと分かった途端に体中があっつくなった。なんだこれ、こんなの経験したことないよ!幸くんと一緒にいる時だってこんなに緊張しなかったかもしれない。
あぁ、どうしよう。マスターがかっこよすぎるからいけないんだ。
キス、したいなんて、思うなんて。
「…いや、じゃないです」
なんて言うなんて。
緊張しすぎてパリパリになっているだろうおれの唇に、柔らかくて厚めなマスターの唇が重なった。
一瞬触れたら、もうなんだかわけわからなくなってるうちにまた離れて触れて、どんどん触れてる時間が長くなっていく。唇を挟むように動くマスターの唇にテンパってしまって頭は真っ白になっていくばかりだ。
でも唇の感触だけはリアルに感じてしまって尚更恥ずかしいし、息続かなくて変な声出そうになったりしてまた恥ずかしい。ちゅ、ちゅって音だけかわいくて実態はあれです。生々しい!
「ん、ふ…まっ、マスター、ちょ、」
本気で苦しくなってきてマスターの胸をグーでどんどんと叩いた。それでもマスターはちょっと唇を離しただけでまた近づいてくる。ホントに、ホントにもう苦しいんですって!!
どんなに叩いても酸欠とパニックで力なんて入ってないから多分そんなに痛くないだろう。
うわあぁああぁ!し、し、舌が!
あわあわしていたらどんどんマスターの舌が入ってくる。そして上あごをすりすりと撫でて行く。ぞくぞくした。
あぁ、これはまずい。これはだめだ!
懸命に力を入れてマスターの胸を押した。
やっと離れる唇。おれとマスターを銀色の糸が繋いだ。
見上げると真っ赤な顔をして息を荒くしているおれとは真逆な、余裕そうな顔をしたマスターが見える。…くそぅ…なんか悔しい。
「ごめん、びっくりした?…苦しかったか」
何に対して『びっくりした?』と聞いているのかは置いといて、
「くっ、苦しかった、ですっ…」
思いっきり睨んだ…つもり。
でも、やっぱりマスターには通じなかったようで。
「ごめんね、すごく嬉しくて我慢できなかった。大人気ないね」
俺に柔らかく微笑みかけた。
次の瞬間にはその笑みは意地悪なものに変わって
「でも、こんなちょっとしかキスできないのは寂しいなぁ。これから、ちゃんと慣れて行こうね?」
「っ⁈…な、何言ってるんですか⁈」
「え?」
ほ、ほんとにきょとんとした顔しやがって!
「こ、これから慣れていくなんて、そんな、」
「あれ、だってさっき嫌じゃないって…」
「そ、そ、それは!ま、マスターが!」
「俺が?」
う、わ、わ、わ!また顔が近づいてきたぁあ
「や、やめてください!」
「俺が、どうしたの?」
「なっ何でもないです!」
「だって今…」
「何でもないです‼︎‼︎‼︎」
思わず大きな声を出してしまった。
マスターはその声に驚くこともなくただただくすくすと笑っている。うぅう…なんでこんな事になっちゃったんだ…!
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