アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
大体、おれは幸くんに好きだと言われたことがない。
おればっかり好き好き言ってた。
ぶっちゃけ、手を繋いだりとかキスしたりとか全くない。
ほんとに恋人だったのかな?
「はぁ…」
「まぁたため息ついてる。」
「あ、満…」
やっと終わった長々とした講義に生徒がわらわらと講義室から出て行く中、おれはぼーっとしながらため息をついていた…ら、満が目の前に現れた。
「理汰、今日バイトねぇ日だろ?飲みに行こう。奢ってやるからさ。」
「うん…ありがとう。」
「うし。行くぞー。」
満は爽やかなイケメンで、いつもおれを気遣ってくれて…ほんとイケメン。モテモテだろうに、男の人が好きなんてもったいない気もする。
あ、あとおまけに金持ち。
そんな満に腕を引かれて講義室を出た。キャンパス内はいつもながら賑やかで、何組かのカップルとすれちがった。
どのカップルも幸せそうだ。
「はぁ…」
「またため息かよ。何?あの〝幸くん〟とうまくいってねーの?」
「え…あぁ…まぁ。」
図星。
何も言えない。
いつの間にか大学をでていて、街の中を歩いていた。
「てかさ、理汰、ずいぶん前から浮かない顔してるよな。」
「そうかな…?」
「そうだよ。まったくー幸くんに浮気でもされたか?」
「そっ…そんなことっ……!!!!」
あ…。また、だ。
幸くんだ。
今日は、茶髪でロングヘアの女の子。
おれはなんでこんな人ごみの中でも幸くんを見つけてしまうんだろうか。
やばい。泣きそうだ。
「ごめん!満…帰るわっ」
「えっ、ちょっ理汰?」
じわじわと視界が滲んできて、まずいと思い、満を置いて走り出した。
幸くん、幸くん…
好きなのに辛すぎるよ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 39