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今日最後の講義が終わってすぐに大学をでて喫茶店に向かった。
腕時計をみると、只今4時。幸くんより少し早く着いてしまう事になってしまう。…まあ、ノロノロ歩いて行けばちょうどいいかもしれない。
そう思って、いつもよりだいぶゆっくり歩いた。
喫茶店の前。
時計は5時過ぎを示していた。
ドアの前で…少し躊躇った。
ここに、幸くんがいる。
好きで好きでたまらない幸くんが、いる。
浮気ばっかりして、おれを悲しませてる…幸くんがいる。
多分…おれが別れようなんて言ったらすぐに〝わかった〟って言うんだろうな。
怖くなって来た…。
やっぱり、今日はやめ……
カランカラン
いきなり目の前のドアが開いた。
マスターがいた。
「っ!ま、マスター…」
「理汰くん、いつまでそこにいるの?…幸、来てるよ」
「!」
どうやら、店の中からおれがずっと立っているのが見えたらしい。
「ほら、早く入って」
「…はい」
店の中は、昨日と変わらずに落ち着いた音楽が流れていた。
どこに幸くんがいるのか、なんてすぐに分かった。
おれと出会う前から、ずっと。
窓際の奥の席が幸くんの席。
幸くんは、おれを見ていた。
マスターが、おれの背中を押した。
「…幸くん…ここに、座ってもい?」
心臓がバクバクいってる。
「ん。」
相変わらず、同じ飲み物で。
「昨日のメール、どうしたんだよ」
でも、珍しく幸くんから話し出した。
「…おれ…結構前から気づいてたんだけど…否定、はしないんだね?」
思ったことをそのまま。
自分に言い聞かせながら
「…しない」
胸に、なんか刺さった
「おれ、幸くんの恋人…なの?」
視界が滲んで来た
「…俺はそう思ってるけど」
「でも、浮気、してるんだ」
結構な沈黙だった。
「してる、な」
「そんなに、おれ、重たいかな?」
「…まぁ…最初は、そう思ったけど別に」
あー、何だろこの感じ…
これほんとに恋人どうしの会話なのか?
「女の子と…浮気、とかひど…」
もう、
「おれの事、恋人と思ってるとか嘘だろ」
だめ
「おれのことすきでもねぇだろっっ!!!」
言葉も、涙も止まらない。
「浮気したっていいやって思ってたんだろ?大体、おれのこと考えてもなかったんだろ?おれは、おれはっ…
幸くんのことばっか考えて!ばかみてぇに毎日泣いて!!!」
いつの間にかおれは立ち上がっていた。
「……おればっか、好きだったんだろ?」
…そうだよって、言うんだろ…?
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