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おれが叫んだ後、沈黙が流れた。
幸い店の中にはお客さんがおれたち以外にいなかったから助かったけど、おれ、結構やらかしちゃったよね。
大体、この沈黙だっておかしいだろ。
幸くんがおれのこと少しでも好きで、大切に思ってくれてたなら…何かしら言ってくれるだろ?
黙ってるってことは、
さっきおれが言ったこと、否定できないって事だよね?
全く表情を変えずにおれの目より少し下のほうをじっと見つめたまま黙る幸くんに、苛つきを感じた。
嫌いなら嫌いって言ってよ。そんなこともできないひとだったの?
それとも、めんどくさいことになると厄介だからどうしたら丸く収まるか考えてんの?
どっちにしたって、沈黙は肯定だ。
「……分かったよ、幸くん」
重たい沈黙を破って口を開いたのはおれ。
もう、いいよ。
疲れた。
「幸くんがおれのこと、何とも思ってないっていうなら…別れよ」
おれが、幸くんに別れを告げることになるなんて3ヶ月前のおれには想像も出来なかっただろう。
ここまで、幸くんとの関係を続けるために我慢したけど…無理だ。
悲しくて悲しくて辛くて涙ももうでないよ。
別れの言葉を言っても、幸くんの表情は変わらなかった。
そして、無表情な顔と同じように抑揚のない声で
「わかった。」
と、言った。
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