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……あったかい。
白く濁ったお湯はいい匂いがして、尚且つ心地いい温度だった。
結局ココアが完全に冷めるまで泣き続けたおれは、マスターに手を引かれながらお風呂に入れられた。
慌てて帰る、と言おうとしたらマスターにその顔じゃ帰るにかえれないでしょ、と言われてしまい今に至る。
この喫茶店は店の奥と二階がマスターの自宅になっているみたいだ。
前のマスターとか、その奥さんとかの姿が見えないあたりからここで1人暮らししているのだろう。
てか、そうなると更に泊まりにくい。
マスターとは何もないにしたって、フラれた…いや、恋人と別れたその日に1人暮らしの男の人の部屋に泊まるなんて……まぁマスターは何とも思わないだろうけど、おれにとってはなんか微妙だ。
「……ブクブクブクブク……」
お風呂のお湯をブクブクしたってなんも解決しないのは分かってるけど、もう、考えんのも辛い。
幸くんと別れたのもまだ実感が湧かない分じくじくと胸が地味に痛む。
その状態でマスターにこんなに優しくされたら意味がわからなくなる。
マスターは、なんでこんなに優しいんだろう。
こんなおれに優しくしたって、めんどくさくなるだけなのに。おれ、きっとこのまま優しくされ続けたらマスターに頼りきりになっちゃう。
幸くんと別れた悲しみを、マスターに優しくしてもらう事で和らげようとしてしまう。
やっぱり、だめだ。帰ろう。
帰って1人で泣こう。
ざばっ!っと湯船からでて、急いで体を拭いて浴室からでた。
「……あれ」
入る時に服を置いた所にはパジャマらしきものが置いてあった。
そして、すぐ近くにある洗濯機が動いていた。…まさか、おれの服…洗ってる?
う、うそーーーー!
これじゃ帰れないじゃないか…どうしよう!
とにかくパジャマらしきものがあるからマスターはおれを泊める気なんだろう。
とりあえず、このパジャマを着ないとお風呂から出れないから着るしかないか。それからマスターに話して、帰ろう。
よし。
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