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死が二人を分かつまで~パラレルペダルT2~R18腐二次創作T2その愛と死
神が結んだものを2①~腐弱虫ペダル二次創作手嶋目線
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アメリカでの展示には、けっこう迷うところがある。
国土広すぎて、足がかりがないのだ。
まず西海岸か東海岸か。
サンフランシスコかニューヨークか。
あまりにも極端すぎるよな。
どうせ行くなら愛車のふるさと、コネチカットにも立ち寄りたい。
そか、その手だ。
俺はパソコンを立ちあげて、コネチカットを調べ上げる。
会社はベセル。
近くに展示即売会場はあるだろうか。
ある。
よし、売りながら、愛車の出自に挨拶だ。
左手のプラチナが問うように光る。
ドイツにはいつ行ってくれる?
知ってるくせに。
来年の工業市に招待されてるじゃないか。
そうだった。
プラチナはおとなしい輝きに戻る。
勝手に怒って勝手に納得する。
おまえさんのよくないとこで、一番かわいいとこだった。
二度と見られない…
空港ロビーで意外な人物に会った。
金城さんと荒北さんだ。
「何でこんなとこに」
「キャノンデールの故郷に向かったと聞いたんでな。同行しようかと」
「オレは別にどーでもよかったんだけどヨ」
小憎らしい語り口はいつも通りだが、
「ホラヨ」
渡されたのは栞。
小さな花びらがパウチされている。
花びら…
ある記憶が俺の脳裏にフラッシュする。
今二人はここに正式に夫婦となりました。
神が結んだものを、人が解いてはいけません。
拍手。
トスされたブーケが舞って、荒北の腕の中へ…
「あのときの花か…」
栞をしみじみ見ていたら、荒北さんがいきなり、俺をかき抱いた。
抱き返しはしなかったけど、気持ちは強く伝わった。
ありがとう。
大丈夫。
言葉は出ない。
選べない。
荒北さんには金城さんがいて、今の俺には指輪しかない。
どんなに心を強く持っても、俺の腕は空を切る。
一生だ。
この淋しさが、孤独がわかるか?
わからないだろう!
「悪い、俺行くわ」
金城さんに一礼して、俺はその場を離れた。
せっかくのべセルが台なしになり、俺はキャノンデール本社を訪のうのをやめた。
展示会の間、俺は一切パビリオンから出なかった。
いや、パビリオンからでなく、ブースからさえ出なかった。
来客に、SHOP AOYAGIのコンセプトを語ることもせず、商談を申し込んでくれた方にさえ、通訳の不在を言い訳にして、俺はこの展示会への参加を、全く無意味なものにしようとしていたのだ。
七組めの商談者を無下に追い返そうとする俺の肩に手を置く奴がいた。
振り向くと黒田雪成だった。
②へ続く
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