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アルバム
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獅音side
「なぁーー!!服貸してー!!!持ってくの忘れたーー!!!!」
風呂場の方から大声で叫んで服貸してとかどうでもいいこと言ってきた。勝手に何でも着ていいから大声出すなよ、今夜中なの分かってんのかな。
「勝手に何でも着ていいから大声出すなバカ!!夜中だから静かにしろ、時計も読めねぇのかバカは大変だな!!!」
「おまえも大声出してんじゃん!!!……てか、服でけーなおい。」
服を着ながら、髪からポタポタ水を落としながら部屋に帰ってきた。
「……小さくなった?」
「なってねぇよ!小人みたいに言うな!!眼科行ってこい!!!」
「お前が小人みたいに可愛い位置なわけねぇだろボケ。白雪姫と小人に謝れ!!」
あいつが風呂に入ったはいいけど、服持って行かなかったから俺の服着たみたいで余計に小さく見えた。女子がセーターとかでやってる『萌え袖』だっけ??あれ「大きいならサイズあってるやつ着ればいいのに」とか思ってたけど、初めて可愛いんじゃんって思ったかも。
少し前に蛍が「『彼シャツパジャマ』とか『萌え袖』くそ萌えるよっ!!!きゃわたんだよっ!!!獅音のシャツ借りて真白に着せてもいいかなっ??」とか気持ち悪いくらいに興奮して俺の部屋にBL本持って入ってきたことがあった。………あいつに今の真白の姿見せたら鼻血吹いて倒れそうだから見せるのやめたがいいなこれは…。うん。蛍が出血多量で死ぬ。
その後、俺も風呂に入って部屋に行ったら、ベッドの下のテーブルに小さい頃のアルバムを開きっぱなしで寝てた。
「…寝るならベッドで寝ろよ」
「…ん~…ぅん……」
……起きねぇなこれは。
そう思って、背中と膝の下に手を入れて抱きかかえるようにしてベッドに寝せた。
アルバム……どっから引っ張り出してきたんだよこいつ。
蛍の父親、昴くん(すばる)は写真を撮るのが趣味で小さい頃からよく俺達の写真をとってアルバムを作って毎年、誕生日プレゼントとしてくれていた。だから今のアルバムの数なんと16冊。さすがに多いなと思うけど、大切にとってある。
こいつが見てたのは中学1年の頃のやつか……3人ともあんまり背丈が変わんないな。この頃くらいまでは俺と真白だけじゃなくて、蛍とも喧嘩することもあった気がする。……あいつと喧嘩すると危ないから、俺も真白も蛍を怒らせないのが暗黙の了解って感じだ。……もう絶対しないけど。
入学式からその打ち上げ、ひとりひとりの誕生会の写真までたくさんある。わざわざ蛍のペンを使ってまで可愛くコメントまで書いてくれてる。
アルバムを見て、ほんの少し前のことのように思う反面、自分が真白のこと好きになって結構たつのか、とか思いながらアルバムを閉じて元あった場所にしまう。
「おやすみ」
こいつの瞼にキスをして。
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