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手
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「うぇー……股がスースーする……なんかまつげが気持ちわりぃ……」
「………お前は……少しおしとやかにできねぇのか……」
あれからどうすることも出来ず、とりあえず歩いてみたはいいものの、全然女の子らしくもなく、いつものままなんだけど。
まさかの女装でやって来るとか思ってもなかったので驚きを隠せず、そうなった理由を聞いてみたところ、蛍に無理やり着せられたという事でした。ばっちり化粧まで。それであの奇声だったわけだな。
こいつの服装は、
肩の部分がレースになったシャツにふわふわのパニエみたいな花柄のミニスカートとニーハイ、ヒールの低いパンプス。こいつネックレスとか金属にまけるから、なぜかサクランボのついた首輪……。髪もそのまま軽く巻かれてた。……髪短くなくてよかったな。濃くない化粧が色白の肌に合ってて、ほんとに男なんて感じさせず、女の子にしか見えなかった。
…………喋らなければ。だけどな。
あ………何となく蝶羽に似てるかも…?
「……歩きにくいなクソ……大体女の子の格好とか…………こんなフリフリのスカートは女の子が履くから可愛いんであって………なんで俺が…」
さすがに恥ずかしいのか下向いて歩きながらグチグチ文句言ってるし。
ヒールも低いと言ってもパンプスとか普段履かねぇし、履きなれてないんだから歩きにくいんだろうな。
「…………ほら、手」
「……手…………手?!…つ、つなぐの?!?!」
………なんでこんなに焦ってんのこいつ…
「歩きにくいんだろ、それ。危ねぇじゃん」
パンプスを指差していうと
「ば、馬鹿!外だぞ?!そ、れに……ぉ、おとこ…同士……だし……人いっぱい…いんじゃん…」
「………………」
やっぱこいつ馬鹿かな??今の格好見て誰が男とか思うかよ……。てか何を今更照れてんだよ!顔赤くされると、こっちまで移るからやめて欲しいんだけど!!
「……わっ!!っうぉぉ!!」
「………………言わんこっちゃない」
危ないからって言ってるそばから足挫きそうになってるし……こいつの頭は猿以下だな。マシュマロ詰まってんじゃねぇのホント。
俺が支えなかったら前歩いてたなんか小汚さそうな太ったおっさんにダイブしてボロクソ言われてたぞ。
「…っご、めん…ありがと……………ぁ、手……」
「トロトロしてたら時間もったいねぇだろうが。速く行こ」
「………う、うぃっす…」
「…………………」
……あー…くそ…マジなんなのこいつ……
手繋ぐのなんて別に特別じゃなくない?!てか、今までだって触ったことないわけじゃねぇよ!幼稚園?小学校?そんなの出席番号近いし、散歩とかバス旅行とか何回でも繋いでるじゃん!!
赤くなんなよ!!ほんとそれ伝染るから……。
「みて…あのカップル、可愛いね…」
「クスッ……手繋いでるだけなのに…二人とも真っ赤…」
周りの視線がこっちに向いてるのも笑われてんのも、気付かずこいつはずっと下向いてるし……。
あーーもーー……くっそ恥ずいわこれ
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