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青春、常に予測不能に蠢く
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「そうだサッカーをしよう!」
「…は?」
一人で昼飯をかじっていたヒナトのもとにやってきたかと思えばそう叫びだした。
「そうすればお前も楽しめるかもしれない!
幼馴染のノリについていけず珍しくヒナトは困った顔をした。
「うんそうだ!サッカーをしよう!」
握り飯を掴んだままヒナトの腕を上下に振りまわして興奮を露わにするリョウについていけず、ぽかんとしていたがふと我に戻って慌てて首を横に振った。
「まてまてまて。俺はやんねぇぞ!」
「なんでだ!灼熱の太陽の下で球体を奪い合う熱い部活!夏といえば部活!汗!友情!青春!様々なものが一気に手に入るチャンスだぞ!」
「あー!うるせぇ詰め寄ってくんじゃねえよ!」
どんどん距離を縮めてくるリョウにうっとおしそうな視線を投げかけ、自分のジュースに目線を落とす。すっかりぬるくなったオレンジジュースをすすりながら「…どうせ俺みてえな不良、入れてくれる部活なんてねーよ」と唸る。
暴れまわってばかりの汚名をかついでいる自分を受けていれてくれる場所はあるのか。自分のせいでリョウまで冷たい目で見られるようになってしまったらもう申し訳がたたないどころの話ではない。
そんな心配をするヒナトに、しかしリョウはほほえみを浮かべた。
「ああ心配するな俺もやるから!ちゃんと頼んでやるから!そんで一緒にサッカーやろう!楽しいぞきっと!」
根拠のない言葉も、なぜかリョウが言うなら素直に信じることができた。
ヒナトはこくんっと首を縦に振り、ぼそりとつぶやく。
「…リョウがやるっていうなら、やる」
「うん二人なら怖くないし楽しいに決まってる!さっそく顧問に話しつけてくるな!」
「あっちょいまて…!」
ヒナトの一生懸命な気持ちの伝え方はどうやら届かなかったらしい。無駄に赤くなったヒナトは歯ぎしりしながらパックを握りつぶした。
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