アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
朝のコンビニ
-
どこか別のお店に寄る元気もなかったので、幸希は外から伺いながら、コンビニへ入った。
(朝だし、この時間にはいないだろう)
朝のコンビニはたまによるが、いつも丸々太ったおばちゃんが、「おはよう!」と元気な声を掛けてくれる。
(土曜は初めてくるな〜)
恐る恐るガラスの扉を押すが、入った瞬間、「ぴろぴろ〜〜ん」という軽快な音楽が店内に広がった。
スタッフは見えず、幸希は飲み物のコーナーへ向かった。
そのままぐるりとお菓子のコーナーを回るとお馴染みの制服を着た男性がかがんでいて、ドキッとした。
「あっ、いらっしゃいませ。」
すぐに彼ではないとわかったが、反射的にびっくりしてしまった。
店出しをしているらしいスタッフはカゴを持って、レジへと向かった。
(マジでビビった…)
ポテトチップスの袋に手をかけながら、ふっーと息を吐いた。
(夜勤務だから朝にはいるはずないよ)
自分に言い聞かせるように幸希は顔を叩いた。
自分の余裕を誇示したいかのように幸希は口笛を吹きながら、カップ麺を見ていた。
(平常心…平常心…)
そういって屈んだ時、不意に横にあった扉が開いた。
「いらっしゃいませ…。」
「あっ…。」
時が止まるかと思った。
10秒ほど動けなかった。
朝の光に負けないくらいの爽やか長身大学生が立っていた。
「あっ、電気くん…。」
「あはっ…。」
幸希は持っていたポテトチップスを落とした上、突っかかって後ろへと転んでしまった。
「うわっ!」
バリバリバリ
背中でポテトチップスが砕ける音がした。
(あっ〜もう!)
「よくコケるね。」
男笑いながら幸希に手を差し出した。
「お、お気遣いなく。」
幸希はその手を断り、砕けたポテトチップスの袋を持ち上げ、男に背を向けた。
「お騒がせしました〜。失礼します〜。」
幸希はそろりとレジに向かおうとした。
「慰謝料!」
低い悪魔の声が幸希に突き刺さった。
(金あったかな〜?)
がっくりと項垂れるしかなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 151