アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
気になるあの子①
-
(そろそろかな…?)
勝谷 里見(かつたに さとみ)はちらりと壁にかかった時計を見上げた。
(今日は遅いんだな)
今日はまだ見ていていない。いつもは8時過ぎくらいだが、今日は9時過ぎてもまだ顔を見ていなかった。
(今日は来ないのかな?)
さっきまでワクワクしていた気持ちが、すぐにしょげてしまった。
(まぁ、来ない日もあるよな…)
里見は廃棄の弁当をカゴに入れながら、ため息をついた。
ピロピロ〜〜ン
「いらっしゃいませ。」
入店時の音を聞くと反射的に声が出る。
里見はカゴを下げて、レジへと向かった。
「すみません、勝谷さん。」
カウンター内に入ると、新しく入った小栗が廃棄弁当の入ったカゴを受け取ろうと手を出した。
「あぁ、ありがとう。」
「こういうのは下っ端がやりますから!」
高校生の小栗は人懐っこくて、里見の事を立てたがった。
「同じバイトだよ。それにこれじゃあ俺がすることなくなっちゃうよ。」
里見は持ち前のくっきりとした笑顔で返した。
「そ、そうデスね。」
小栗はパッと顔を赤くして、照れ笑いを浮かべていた。
(う〜ん。折角、男子のバイトにしてもらったのにな…)
ピロピロ〜〜ン
「いらっしゃい…」
思い詰めたような顔をして、1人の男性が入ってきた。
「…ませ。」
里見はにんまりとせずにはいられなかった。
(来た!!)
その客は、背は里見より少し低く、小さな顔に華奢な身体つき。肌の色は白くて、パッチリとした瞳にちょっと低めの鼻。栗毛色した綺麗な前髪が目にかかるためか、何度も頭を振って払っていた。
大きめな作業着を着ていなければ、高校生かと思うような風貌の彼を初めて見たのは、ここにバイトに入ってからすぐのことだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 151