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苦痛なイベント
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(なぜ…こんな所に…?)
「やだぁ〜素敵〜〜☆」
「いや〜イイねぇ。ユキちゃんならもうちょっとこう…開いたやつでも良いんじゃないかな?」
「…あぁ…なんか泣けてきた…。」
「ヤバいっすよ…。石渡さんが昔のこと思い出したのか、泣き出しました。」
「…金田くん…俺、帰って…」
『次は英文学科2年、さいじょう かなみさんの作品!』
大音量と共にステージ上に鮮やかな黄色いカクテルドレスを着た可愛らしい女の子が静々と現れ、会場中が拍手で包まれた。
(あぁ…帰りたい)
通路側に座っていた幸希はちらりと階段を見た。
60分前のことだ。
「どこの高校から来たの?」
髪の長い派手めな美人が幸希に話しかけてきた。
「はっ?」
「大学見学に来たの?」
「へっ?」
話が掴めない幸希は眉間にシワを寄せるしかなかった。
美人は含み笑いをしながら、幸希に1枚のビラを渡してきた。
「これ、良かったら見に来て。私も出るから。じゃあね。」
「はぁ?」
美人は完璧に計算された笑顔を浮かべ、幸希に手を振って、去っていた。
幸希が首を傾げていると木下がその首に飛びついてきた。
「なんだ!今の子!?」
「何もらったんですか!?雨宮さん!」
次に走りこんできた金田が幸希の手からビラをもぎ取り、遅れてきた竹下が金田の手元からそれを覗き込んだ。
”ウェディングドレスショー
学生たちが本格的にウェディングドレスを作成!
未来の花嫁姿をいち早くみんなに大公開!
入場は無料!!見に来てね!! ”
「あっ!!私、これ見たい!!」
竹下のこの一言で今に至る。
「可愛い〜〜私も着たい〜〜。」
「ユキちゃんならすぐにでも着れるよ〜〜。」
「そういやぁ〜あいつは黄色のドレスだったなぁ〜。」
「雨宮さん、さっきの人、まだ出ないですね。」
幸希はふっーと息を吐いた。
(木下が賛成したのは分かる。石渡さんはなんか感慨深げにいいよって言ったのは痛々しかった。しかし…)
ちらちらと金田がステージと幸希の顔を伺っている。
(金田くんはどうして行こうって言ったんだろう?さっきの人…知り合いだったのかな?まさか!?んなわけないな…しっかし、そんな疑うような目で見られると….)
「金田くん、どうした?」
幸希が苦笑いて顔を向けると金田はそっぽを向いた。
そっぽを向かれると会場が暗いせいで、金田の表情がわからない。
「金田くん?」
「雨宮さんは….どんな人がタイプかなって思って…。」
幸希はキョトンとしてしまった。
「えっ…?」
「あっ、いえ。忘れて下さい。」
金田は再び、ステージに目をやり、周りと一緒に拍手をした。
幸希もステージに顔を向け、ポリポリと頬をかいた。
「…まぁ、ウェディングドレス着せたいって思う子はいないかな….。」
(ゲイだから永遠にウェディングドレス着るような子とは巡り会えないしな…)
「えっ…?さっきの人とか…」
「ん?」
『さぁ、皆さん、ラストを飾るのは去年のミスコンテストでグランプリを受賞したこの方です!』
わぁ〜〜!!っと会場中が湧き上がった。
「あの人…さっきの!?」
金田が幸希の裾を引っ張った。
スポットライトを浴びたステージの中心に先ほど幸希にビラを渡したあのスレンダー美人が、白いウェディングドレスを着て厳かに出てきた。
「わぁ〜綺麗ね〜〜。性格悪そうだけど。」
「マジ美人だなぁ。雨宮、連絡先聞いてないか?」
「あいつがあんなドレスで出てきた時も綺麗だったなぁ。うぅっ。」
「雨宮さん…。」
「金田くん!あの子とは知り合いじゃないから!ね?」
幸希はなぜか焦ってしまった。
(まぁ、綺麗な子だけどさぁ〜対象じゃないし!)
『そしてスペシャルゲストです!!』
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