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おてやわらかに
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「ぶふはははっ!なにそれ!はははっ、ふふ、ふふふっ、」
「わーらーいーすーぎだっつの!」
「やー、キミほんと、見た目だけ大人だね。かーわいい。」
「……余裕だなァ?ガキのくせに」
「そりゃあね、大人より子どものほうが大胆なんだよ。大人は臆病になっちゃって大変だ」
ソファに腰掛けていた弘は俺の目の前にずいっ、と顔を寄せてにんまりと笑った。弘の細い指が俺の瞼を、頬を、唇をなぞって、そして顎、首筋、鎖骨と降りていく。
「誘ってんのかお前」
「あは、もちろん。ねぇ、俺のせいにしてさ、過ちおかしてみない?」
黒くてさらさらとした髪が喉元をくすぐる。俺の胸に頭を押し付ける弘はまるで表情をみられたくないと言っているように見えた。
お前の嘘つきは、治らないんだな。
「誰がお前のせいにするかよ。同罪だ、バーカ」
自分の気持ちを上手く隠す天才だ。へらへらしやがって、それでバレないとでも思ってんのか。何いまさら罪の意識に駆られてんだよ、こんな禁断の関係もたかが三年、この三年を乗り切ったら俺とお前は咎められず堂々と愛しあえるというのに。
せっかくもう一度会えたのに、そんな顔すんなよ。
「どうして俺をここに呼んだの。今まで部屋に入れてくれなかったのに」
「……ベランダ、でようぜ。」
俺はなにがなんでも弘を愛してやりたい。過去のお前があれほど欲しがって、手にいれる前に消えちまったもの、俺が今から百年かけてお前にやりたいんだ。
キスもセックスもしたい。そりゃお前に触れるならなんだっていい。だけど、それより、
疑問符を浮かべながら弘はベランダに出た。はは、こいつ、今日がなんの日か全く分かってねぇな。
「えーと、ここでするの?」
「バッッッカじゃねぇの?!いいから空みとけ」
「空ーー?」
弘が首を上げた瞬間、ひゅーっと音がして、ドォン…と、空に花火が打ち上がる。今日は花火大会の日、それから前世のお前の、誕生日。
「俺の部屋から、毎年花火が綺麗に見えるんだ。毎年ひとりで眺めながらお前のこと考えてた」
一発打ち上がったら、何発も何発も綺麗に夜空に咲いて行く花火を、弘は瞬きもせずに見ていた。
「でも、今年はお前がいる。花火大会に連れてってやれねぇでごめんな。お前が卒業したら、ちゃんと見に行こ、っん!」
話している途中なのに、突然がばっ、と抱きつかれて、キスをされた。花火をバックにキス、って、すげぇロマンチックなんだけど。弘をきつく抱きしめて、キスを味わう。ちゅ、ちゅうっ、と唇を吸われて、最後にぺろりと唇をなめられて、そっ、と離れた。
「キミ、ほんと、ばか」
「…はは、熱烈だなぁ、オイ。…誕生日おめでと。」
「どうして、俺の昔の誕生日暗証番号にしたり、こうやって毎年祝ったりするんだよ、ばか、ばかだね…」
「お前がおもってる何倍も、すきだからだよ」
「こんなことされたら、俺、」
「ん?」
「勃っちゃう。」
弘はこまったように笑った。あ、よかった、ようやく今日はじめて笑ってくれた。
「お手柔らかに。おにーさん」
そういって弘の首に噛み付く。あーどうしよ、ちゃんと勃つかな、俺。
ばくばくとうるさい胸の音、どうか花火の音で消えますように。
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