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まだまだ暑い
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新学期。
九月になったのにまだまだ暑い。半袖を着てるのに汗でへばりついて気持ち悪い。蒸し暑い講堂の中でハゲた校長の無駄話。俺は生徒として生徒の列に並んでくだらないそれを聞き流している。チラ、と壁際を見ると退屈そうな顔をしてるセンセイと目が合った。手を振りたいけど怪しまれる気がしてふいっ、と視線を逸らす。ごめんね、って心の中で謝りながら。
「あーつーいーわーー!こんな時に乳のでかい可愛い女の子とか水着になってくれたら少しは涼しくなると思わね?」
「涼しくなるどころかヒカルは熱くなるんじゃない、主に息子が」
「ギャハハハハ!!まちがいねぇわ!」
始業式が終わり、友達のヒカルと教室に帰る。安藤ヒカル、バカで喧しい女好き。…すっげぇデジャヴなんだよね。前世かどっかで絶対会ったことあると思うんだけど、うまく思い出せない。
「あ、なぁなぁ!俺さ、合コンするんだけど弘もこねぇ?」
「行かないよ、俺恋人いるし」
「は???!!!聞いてねーーーー!誰?!この学校?!」
うん、この学校のこのクラスの担任の宮園先生だよ、なんて、言えるわけもなく。
「な、い、しょ。」
「ウゼーーー!うわー!弘に先越されたーーー!」
大袈裟に頭を抱えて膝から崩れおちるヒカルを無視して自分の席につくと、まもなくセンセイが教室に入ってきた。
「うわ!!おいおい安藤、なにしてんだよこんな入口で。思わず踏みかけたわ」
「せんせーー!聞いてくれよ、弘に彼女できたんだって!」
「……へぇ?緒方に?緒方ー!どんな彼女なんだよ?」
ニヤニヤしながらセンセイは俺に話を振ってきた。めちゃくちゃしてくれるねぇ?あんただよ、あ、ん、た!
「俺より背高くてーウブでーバカでー、なんか多分前世から愛し合ってるんじゃね?ってぐらい強い絆で結ばれてるかわいー恋人でーす」
べっ、と舌を出してそう言うと、クラスのみんなが「自慢してんじゃねーよ!」だとか「リア充爆ぜろ!」とヤジを飛ばしてくる。センセイは笑いながら「お幸せにな!」なんて言ってるけど、キミ、耳赤いよ。
「弘より俺のがかっこいいのになんで?!なんで俺に彼女できねーの?!おしえて先生!」
「顔じゃね?」
「ヒデーーーーッ!!」
ヒカルはバカで明るいから、クラス中から笑いが飛び交う。うんうん、フツーに順調な新学期だ。この調子でバレないように三年間がんばろう。
…なんて、生ぬるいこと考えてた。この時までは。
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