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好きにすれば
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だるい。
呼び出しをくらって
一体どれくらい経ったんだ?
「成海君。今日言った事を忘れないでね。」
「分かってますよ」
樹の父親はこの学校の
理事長を勤めている。
樹とは正反対の冷徹な性格。
俺はこの人が苦手だ。
考えている事が全く読めない。
「あと、今度からは身なりを
きちんとしておくことだよ。
ネクタイをしていないなんてだらしない。
そんなので生徒会なんて務まらないよ。」
「だからコーヒー零したんですよ」
「君、コーヒー飲めないでしょ」
・・・・・あー、めんどい。
ほんと、俺の事はどこまでも
調べてるんだな。
浅く礼を済ますと、部屋を出て
俺は生徒会室に向かった。
そういや、あいつどうなったかな?
元不良だし、縄抜けくらい出来るだろ。
とっくに解いて帰ったかな・・・
それとも、まだ・・・・
そんな事を考えて生徒会室に入った
「!?・・・・」
「おかえり成海」
でも、そこにあいつの姿は無く、
居たのは机に座り、
いつものように資料に目を通す
樹の姿だった
「・・・・」
「なに?」
「いや、お前一人か?」
「ん?そうだけど?」
やっぱりあいつ、帰ったのか。
なんだよつまらねえな。
「へぇー。」
大きく息を漏らして俺は
ソファーにどさっと座る
折角今日は楽しめると思ったのによ
天井を見つめ、そう思っている時だった。
「そうだ。成海、ちょっといい?」
樹がそう言うが
俺はまた雑に返事をして返した。
「僕さ、あの1年君と付き合おうと思うんだ」
「・・・・・は?」
今何て言った?
1年君?誰だよそれ
「何、誰と?」
「ほら、朝成海と一緒に居た彼。渋谷君」
「・・・・はっ、冗談やめろよ。
あいつ女みてぇな顔してっけど男だぞ?」
ほんと、どんな冗談だよ。
俺は知ってるぞ。
お前は年上美人の巨乳が
好きだってな。
なのにあんな胸無しの
ぺったんこ野郎を好きになるわけねえだろ。
俺からあいつを離そうとしてる事くらい
見え見えなんだよ。
「冗談じゃないよ。」
「・・・・」
「僕は彼に一目惚れしたんだ。
さっき廊下ですれ違った時、告白した。」
「で、向こうはなんて?」
樹が真剣に俺を見ながら言うから
つい真面目な質問をしてしまう。
あいつの性格上
どうせ口調荒く断っただろ。
なんなら蹴りの2、3発食らって・・・
「了承してくれたよ。」
「・・・・」
「だから、もう新は僕のものだから
成海、手を出さないでね?」
“ 新 ”・・・
樹が俺以外の奴を下の名で呼ぶのは
初めてだった・・・
「もしかして、成海は
新の事好きだった?」
「別に」
好き?・・・
そんなワケねえだろ。
あいつは俺の犬だ
それ以上でもそれ以下でもない。
別に、犬一匹手放したところで
どうってことない
変わりはいくらでもいる
「興が逸れた。好きにすれば」
「分かってくれて嬉しいよ。
ありがとう成海。」
そう言って樹は笑った。
だが、この時の樹は理事長に
良く似ていると感じた。
何を考えているのか全く読めない。
本気であいつが好きなのか?
さっきから、どうでもいい事が
頭をぐるぐる回っている。
胸が締め付けられる気分だ。
なんなんだよ・・・
“ 新はもう僕のものだから ”
新は俺だけのものなのに
樹のその言葉が頭から離れなかった
「・・・・だる」
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