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本当は分かっていたはずなのに
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俺はその日、樹には
用事があると伝え、放課後
生徒会室には行かないつもりだった。
特に用事なんてなかったけどな。
でも今日中に片付けなきゃいけねぇ
資料を思い出し、
渋々生徒会室に足を運んだんだが
「新」
樹があんな事するとは思わなかった
なんだ、ラブラブじゃねえか
と思う半心、正直腹が立った。
新の名を呼んで、新の髪に触れて
新の肌にキスをする
それは、俺だったのに
今まで、新の色んな顔を見てきたけど
樹に向ける顔は、俺にはしない顔
「チッ・・・」
ああ、ほんとにイライラする。
新以外の事を考えようと
女を抱こうとしたけど
その気になれなかった。
誘ってみろ と女に言うと
女は喜んでそれに従う
面白くもない。
俺が無理矢理犯しても
女はその強引さにますます喜ぶ
どんなに泣かしても、
もっと、もっとと俺に縋り付く
俺じゃなく、
この顔、この体を求めて
「・・・新」
出会った時から生意気で
その強気な目に、俺は興味を惹かれた
ケンカに負けると悔しそうな顔で
俺を睨んでは歯向かって
それでも俺に逆らえず俺に弄ばれて
火照る体にキスを落とすと
潤んだ目で俺を睨みつける
最後まで、最後まで俺に反抗してくる
そんな新が可愛いくて
全然、新が足りなくて
「・・・なんだ?」
胸が痛い
締め付けられるみたいで苦しい
「ありえねぇ。」
こんなんじゃ、まるで俺が
「あ、あのっ」
そんな時、廊下で1人の女が声を掛けてきた
「こないだの・・・告白なんですけど」
ああ、あの時の・・・
そういや、まだ返事してなかったな
「私、上城先輩の事が本当に・・・」
この子が俺に対して抱いている気持ちは
俺が新に対して抱いている気持ちと
同じなんだろうか。
「だからっ・・・そのっ」
「君は、なんで俺と付き合いたいの?」
付き合うなんて、ただの
固定されたセフレなだけだ
それ以外なんて
「先輩の事が好きだからです!」
「!?」
その子は真っ直ぐと俺を見て
笑ってそう言った
その笑顔は、なんの偽りもなく
ただ堂々としてて
「好きだから、一緒に居たいんです」
“ 好きだから ”
簡単な言葉なのに
好きなんていう特別な感情から
俺はずっと目を背けていた
「そうか・・・」
「先輩?」
この子も、ほんとに俺が好きでいてくれて
その気持ちをただ真っ直ぐ伝えてくれたのか
ちゃんと向き合わねえと
「ありがとう。」
新を俺で縛りたくて
独占したくて
無理矢理でもいいから
側に置きたくて
「でもごめん」
でも違ったんだ
縛られていたのは俺の方
新という枷に絡まれて
気付けば抜け出せなくなっていた
側に置きたいんじゃない
俺が側に居たいんだ
「好きな人が居るんだ」
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