アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
雨に紛れて消えるならいいのに
-
俺の中では、会長はほんとに
天使みたいで、笑った顔が
ほんとに優しくて安心出来て
触れられた場所が熱を持って
それだけで胸が熱くなって
一緒に居ると心があったけぇって
もっと一緒に居たいって
気付いたら会長の事ばっか考えてた
「ッ・・グズッ・・ズッ」
なのに
会長に触れられたのに
触れられた場所が冷たくて痛い
「・・・なんだよ・・・」
少しは俺の事気にかけてくれてると思った
少しくらい、俺の事いいなって
思ってくれてると思った
気持ちを伝えたら
あの優しい笑顔で応えてくれると思った
「・・・馬鹿みてぇ」
全部俺の思い込みで
俺の独りよがりだった
会長は自分の役目を真っ当しただけで
それ以外の情なんて俺に持ち合わせてなかった
勝手に好きになって
勝手に告白して
会長に酷くされたら
また勝手に傷付いて
「ダセぇ・・・」
ほんと 何してんだよ俺は
考えても頭が痛いのは増していく
震える体を起こして
俺はそのまま保健室を出た
「・・・・雨」
廊下から外を眺めると
またポツポツと雨が降り出した
今日も傘は持って来てない
「どうでもいい・・・」
むしろ今日は雨で良かった
こんな顔で前を向いて歩けやしねえ
雨で頭でも冷やして早く家に帰りたい
早くこの気持ちをどうにかしたい
フラフラと歩きながら
ようやく校門の前に来た
雨音が少し強くなる
制服に浸透していく雨が冷たくて
少し体が震えた
「渋谷君?」
そんな時、誰が俺に声を掛けた
そっとそいつを見ると大崎だった
「大崎・・・」
「ど、どうしたの?濡れちゃうよ!
傘は?てか顔赤いよ!
まだ熱あるんじゃ・・・」
いつもは全然話してこねえ大崎が
慌てて俺に話しかける
濡れる俺を酷く心配したように
持っていた傘をこちらに傾けた
あー、クラスメイトにまで
こんなカッコ見せるとか
ほんとに俺ダセぇ。
「大丈夫だからほっとけ・・・」
「大丈夫じゃないよ!」
「いいって・・・」
大崎の優しさが辛くなる
会長を思い出してしまう
「なら、なんで泣いてるの?」
「は?」
大崎がそんな事を言った
頬に手を当てると雨に紛れて涙が零れていた
「一旦学校に戻ろう?
このままじゃ風邪が悪化するよ」
「っ!!」
「あっ!渋谷君!!」
俺は大崎を振り切ってその場から逃げた
雨に紛れていたから
泣いてたなんて気付かなかった
いつから?保健室を出た時は
結構冷静になれていたのに
なんで気付かなかった・・・
なんで、大崎は気付いたんだ
「っ・・はぁっ・はぁっ」
俺はまた走っていた
涙が止まるまで
苦しくなるまで走った
「うっ・・・」
その時、目の前がくらんで
足元がふらついた
また倒れてしまいそうになった
「大丈夫?」
誰かが俺の腕を掴む
「っ・・・離せ」
上を見上げると、数人の
不良を引き連れた男
金髪頭で両耳にピアス
少しタレ目な・・・あれ
こいつ、どっかで・・・
「おっ、渋谷じゃん!
なんだよてっきりどっかの
可愛い子ちゃんかと思ったよ」
ヘラヘラと笑いながら
更に俺の腕を強く握る
「っ・・・誰だよてめえ」
「そんな顔で睨まれても怖くねえよ?
もしかして具合悪いとか?
ははっ、俺が看てやろうか?」
後ろにいる奴らもニヤニヤと笑っている
頭が痛くて脳が働かない
視界もどんどん狭くなる
「離せっ」
ブンッと左腕を振るいそいつから
離れようとしたが、
その腕もまた掴まれてしまう
「おっと、暴れんなよー
まさか、俺の事覚えてない?」
は?・・・
覚えてるワケねえだろつか誰だよまじで
「まぁいいや。
なら、今から思い出させてやるよ」
その時、俺はこいつに腹を殴られた
「っ!!」
必死に繋ぎとめていた意識が
ふっと抜けていく
「渋谷ぁ。俺、ずっとお前の事
ぐちゃぐちゃにぶっ壊してやりたかったんだわ。」
真顔で俺を見下ろしながらそう言った
その時、薄れていく意識の中で
こいつの事を思い出した
鷹中時代。
ある中学の頭を潰した事がきっかけで
俺は鷹中のトップに付いた
そのトップの名は・・・
「ひ・・・ざき・・」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 617