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成れの果て
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忘れてはいけない事を
俺は忘れてしまっていた。
後悔しても仕切れない俺の前科・・・
「うっ・・・」
目を開けると5人の不良共と
その奥に、あの氷崎の姿・・・
ああ。失恋の次はリンチですか・・・
ほんと、今日は何て日だ
「やっと起きたかよ」
ここはどこだ?・・・
倉庫の中・・・?
駄目だ、まだ頭がクラクラする
「氷崎・・・なんでお前が・・・」
俺がそう言うと、氷崎はにやりと笑った
「なんで?・・・そんなの決まってんだろ」
肩を震わせ笑いを堪えるようにして
やがて顔を上げたその表情は
「てめぇに復讐するためだよ」
紛れもない、狂気に満ちた顔だった
「2年前、俺はてめぇに負けたせいで何もかも失った。
負け犬やら腰抜けやら散々言われたあげく、
学校まで退学。はっ、情けねえ」
氷崎はそう言うと立ち上がり、
俺の方へ歩み寄って来た
両腕を2人の男に抑えられていて
逃げることができない
風邪なんて引いてなけりゃ
こんな奴らどうってことなかったのに
「俺を潰したそいつは、
その手柄でトップになったって聞いたからよ。
またてめぇを見つけて今度こそ
ぶっ潰してやろうと思ったのに」
「・・・っ離せっ」
氷崎がどんどん近付いてくる
今のこいつはなんかやばい
普通じゃない・・・
「ぐぁっ!」
俺の前まで到達した氷崎は
俺の腹にまた蹴りを入れた
そのまま、グリグリと腹を踏みつけられる
「当の本人はケンカから足洗って
今じゃすっかり真面目気取りかよ。
俺は地の底這いつくばってやっと
ここまで来たのに、
てめぇが涼しい顔で生きてるなんて
許すわけねえだろ」
「っ・・・・・・あの時の事は・・・
後悔してる・・・っだからお前に
もう一度会った時は・・・」
「はっ!何?謝ろうとでも?
今更善人ぶってんじゃねえよ!
俺はそんな事望んでなんかねえよ」
「っ!!・・・うっ」
しゃがみこんで氷崎は俺の髪を掴み
顔を近付けてきた
黒く、淀んだ瞳の中に俺の姿が映る
「渋谷。俺とやり合おうぜ。
もう一度あの時のお前を見せろよ。
今度こそ叩き潰してやるからよ」
低く重い狂気に満ちた声
氷崎は本気だ
でも
「っ・・俺は・・・もう喧嘩はしない・・・」
あの日から、俺はそう誓った
今まで、取り返しのつかないくらいの人を傷付け
そいつの地位を潰しては
俺の名は上に上がっていった。
その中で、復讐に狩られ今も
喧嘩に取り憑かれている奴らがいる。
氷崎も、その中の1人・・・
「・・・ふざけてんじゃねえぞ」
ガッと氷崎は俺の顔を殴った
地面に俺の血が飛び散る
口の中に錆びた血の味が広がった
「なら、その気にさせてやるよ」
「・・・っ」
くそ・・・このままじゃ・・・
「おい、お前らそいつの腕離せ」
「えっ、いいんすか?」
氷崎が俺の腕を掴んでいた男にそう言うと
そいつらは俺から体を離した
「ゲホッ・・・」
地面に手をついて口から滴る血を拭う
そして俺はゆっくりと立ち上がった
喉が痛い。腹がズキズキする
ほんと、こんな時に限って・・・
ギロっと氷崎を睨んだ
「ふっ、その目は相変わらず生意気だな。
ほんとムカつくわ。」
「氷崎・・・こんな事もうやめろ」
「・・・だから、何回も言わすなよ。」
「!?」
傷付けば、氷崎はすぐ俺の前に来ていた
懐に入られ、下から氷崎の拳が飛んでくる
「っ!!」
なんとか避け切れたが、
足がフラついて腰をついてしまった
「風邪だってのが残念だぜ。
本気のてめぇを潰したかったのによ」
「っ・・・氷崎っ」
「おいお前ら。そいつが
その気になるまで殴れ。」
なっ・・・
氷崎の言葉を合図に、
周りの奴等が俺に群がってくる
「渋谷ぁ。早く本性見せろよ」
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