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失って初めて気付くもの
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あれからタクシーを捕まえ
病院に連れて行こうとしたが
新は薄れる意識の中
唸るように病院は嫌だと俺に訴えてきた。
こんな状態の新を家に帰す訳にはいかねえし、
とりあえず俺の家に連れてきたんだが・・・
「・・・うっ・・」
濡れた服を脱がし
ベッドに横にさせる
タオルをお湯に浸して
水気を取った後、少し冷まし
震える新の体を優しく拭いた
「ゴホッ・・・つっ・・いったい」
起きてはないようだが
新はさっきから小さく言葉を零す
「ちょっと我慢しろ」
腹から背中に掛けて傷だらけだ
切り傷も少しある
いったいどれくらい殴られたんだ
「ゴホッゴホッ・・・っめがね・・・」
「・・・大丈夫だから」
傷を拭き終え、薬を塗った後
ガーゼと包帯、絆創膏で傷を塞いだ
そのあと新の後ろに手を回して
入っている白濁を指でゆっくり掻き出した
「やぁ・・・いッ・・・」
「新・・・大丈夫だ」
少し怯えるように体を震わせる新の耳元で
安心させるように何度も呟いた
奥まで入り込んだあの男のものを
全て掻き出し終えると
また俺の中の怒りが湧いてくる
「・・・許さねえ」
このままで済ませる訳ねえ
「・・やめっ・・・もう・・・」
「新?」
その時、新が俺の腕を掴んだ
か細く何かを呟く新の顔に近付いて
耳をすましてみると
「もッ・・・いい・・・だめ・・・成海ッ・・」
「・・・」
新はあの時初めて、自ら俺の名を呼んだ
怒り狂う俺に、精一杯の声で
「分かってるよ」
あの時、新が俺の名を呼ばなければ
俺はあのまま、あの男をどうしていただろう
「・・・ごめんな新」
そっと新の頭を撫でると
ふっと安心したように手を離した
とりあえず裸のままじゃ
体を冷やすから、俺の服を新に着せる
「・・・うっ・・・ん・・・」
もう一度新の額に手をやると
息を漏らすように新が声を出す
「熱いな・・・」
いい加減風邪引いて免疫力が
低下してんのに・・・
風邪薬を手に取ると
薬と水を口に含んで
また口移しで新に飲ませた
「ふっ・・・んっ」
少し眉を歪めた新は
そのままゆっくりと飲み込んだ
「ケホッ・・・ケホッ・・・」
小さく咳をして新はまた眠りに着く
「・・・新」
こんなに傷だらけで風邪まで引いて
それでも抵抗出来なくて
ボロボロになって・・・
きっと、何度もやめてと叫んだだろう
「・・・・俺は?」
小さく鼓動が唸る
俺は今まで、新がやめてと言えば
やめたのか?
嫌がる新を無理矢理犯して
新の弱味を握っては脅して
「・・・はっ」
俺もあいつらと同じじゃねえか
散々酷くして弄んで
新の気持ちを一切無視して
別の奴に新が好意を抱いて
そのイラつきをまた新にぶつけて
拒絶されて初めて
新が好きだと気付いて
最低なのは俺じゃねえか
「・・・ん」
声を漏らす新の頬に触れる
熱く火照る新の顔を見ると
また胸が苦しくなる
「・・・・新」
好きだ
誰よりも何よりも
でも俺はそれを言う資格がない
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