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優しさ
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夢の中で眼鏡の声が聞こえる
大丈夫だってずっと俺の頭を撫でながら
眼鏡のくせにその声が
優しくて安心する
さっきまで体中が痛くて
寒かったのに
今は 温かい
「・・・う・・っ」
目を開けると知らない天井だった
なんか体がめっちゃ・・・
「熱い」
ふと、俺の腹に何かが乗ってる
腕?か
やがて視線を横にずらした
「め、眼鏡・・・」
隣で眼鏡が寝ている
しかも、俺に抱きついたまま
「なんでこいつが・・・」
そう思い、意識を飛ばす前の事を思い出した
そういやあのまま眼鏡に連れられて
「ってことはここはこいつの家?」
よく見ると、体中包帯だらけで
ベッドの横の机に目をやると
薬と体温計、あと飲み物が置かれていた
「これ・・・全部こいつがしてくれたのか?」
「・・・ん」
その時、眼鏡が目を覚ました
「新?・・・」
「お、おう」
「起きて平気?熱は?」
起きるなり俺の体を心配する
目を擦りながらそう尋ねるこいつが
少し可愛かった
なんて思わねえよ!!
「も・・・平気だ・・・」
「ん、・・・なら良かった」
そう言うと眼鏡はベッドから降りて
俺に冷たい水を持って来てくれた
「飲める?」
「・・・ん」
ゴクリと水を平らげると
眼鏡は俺の額に手を当ててくる
「なっ、なにすん」
「熱はもう無いみたいだね」
「さっきそう言っただろ!離せ!」
俺は慌てて眼鏡の手を振り払ってしまった
「・・・何か食べたい物ある?」
「い、いい・・・」
なんだ?
今日の眼鏡変だぞ
俺が風邪引いてるから優しいのか?
それともあんな事があったからか?
「・・・・・」
会長に手酷く振られたからか・・・?
「新」
「な・・なんで俺なんかの為に・・・」
駄目だ・・・
思い出したらまた苦しくなってきた
会長に振られて
そのあと氷崎達に犯されて
こいつの目の前で・・・俺は
「なんで・・・助けに来たんだよ」
違う
そんな事が言いたいんじゃない
「新・・・」
本当はこいつが来てくれた時、嬉しかった
もしも、あのままこいつが来なかったら
俺はどうなっていたんだろう
「新」
苦しい
こいつが優しく触れてくるから
優しく名前を呼ぶから
「っ!・・・んで」
「え?」
「なんで優しくすんだよ!」
優しさが怖い
それを信じて裏切られた時
また傷付くのが怖い
「なんで・・・放っておかなかったんだよ・・・」
どうして俺は
素直にありがとうって言えねえんだ
「っ!?」
その時 眼鏡が俺を抱き締めた
「ちょっ・・・離せ」
「新」
「っ!・・・」
耳にこいつの息がかかる
また体が熱くなる
「新・・・」
何度も俺の名を呼んで
眼鏡があまりにも大事そうに
俺を抱きしめるから
この手を振りほどく事が出来ない
どうしたんだ・・・
さっきから心臓がバクバク煩い
まだ・・・熱があるのか?
そう頭で奮闘している時
眼鏡が口を開いた
「好きだ」
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