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言葉の重さ
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言わないつもりだった
俺は新を好きでいる資格が無い
好きだと伝えても、
きっと俺は新に拒絶される
言ったところで、それは俺の自分勝手な感情だ
そう思ったから
言わないつもりだった
だけど
「なんで優しくすんだよ!」
泣きそうになりながらそう叫ぶ新に
何を言えば伝わる?
何をすれば新は安心出来る?
人を信じられなくなった今の新に
何を言えば信じてもらえる?
「・・・っ」
どうすれば、俺を見てくれるんだ
「新」
言っても信じてくれるか分からない
伝えても、新の中の俺が変わる事は
ないかもしれない
“好き”なんて、たった二文字の簡単な言葉
簡単に人の心を左右して
簡単に人の心を惑わせる残酷な言葉
だけど
俺の気持ちを全部乗せて
この言葉でお前に伝えたい
「好きだ」
俺はお前を見てる
俺はお前を受け入れれる
過去の新も今の新も
お前が別の誰かを思っていても
「・・・好きだ・・・新」
大事にしたい
守ってやりたい
二度と、こんな事がないように
色んなものを抱えた今のお前に
こんな事を言うなんて
本当に俺は浅ましいな・・・
それでもこの言葉しか思い浮かばなかった
お前に一番伝えたい事だった
「な・・・なに言って」
「大事にする。俺が守るから」
「い、意味わかんねえ・・・」
でも、思いを伝えて
もしも新が嫌な気持ちになるなら
「新・・・嫌なら突き放して」
俺は身を引く
二度と、お前の前に現れない
「っ・・・」
「・・・・」
その時、
すっ と新が俺の体を離した
下を向いたまま黙り込む
「・・・・・・」
分かっていた事なのに
いざ拒まれると引き裂かれるみたいに
胸が苦しくて痛い
目の奥が熱くなる
「・・・ごめんな」
新の頭を撫でたあと、そう呟いて
ベッドから降りようとした時だった
「!?」
・・・何?
後ろから・・・
「新?」
新が抱きついてきた
「・・・うっせえ・・・こっち見んな」
俺の背中に顔を埋めて
小さく震える新の体から、
トクトクと鼓動が伝わる
「っ・・・お前の事・・・嫌いだ」
後ろから伸びる新の腕を握り締めると
新は少しビクッとして
またぎゅっと腕に力を入れてくる
「嫌いだ・・・お前なんて」
「・・・・わかってる」
「でも・・・」
そう言うと新は少し黙って
やがて震える声でまた言葉を放った
「居なくなるみたいな言い方すんなよ・・・」
「・・・・」
「散々俺にあんな事して・・・
そのせいで俺は男が好きになって
全部・・・お前のせいだ」
「・・・うん」
「なのに・・・
俺から離れるみたいな言い方すんなよ」
なんだ?・・・新・・・
何を言おうとしているんだ?
ドクドクと鼓動が早くなって
新の手を掴む力が強くなる
「責任取れよ・・・くそ眼鏡」
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