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重なり合う音
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沈黙の中で二つの鼓動がお互いの
体を通して伝わってくる
背中から新の心臓の音・・・
俺を抱き締めたまま
ぎゅっと背中にしがみつく
「・・・新・・・今」
なんて言った?・・・
「・・・・」
どうしよう。手が震える
新の顔が見たい
俺は新の腕を解いて
新の方へと振り向いた
「なっ!こっち向くな!」
新は急にバタバタと暴れ出したが
その腕を掴んでまた新を引き寄せる
「新・・・」
「やめろっ・・・見んなっ」
そう言って新は下を向いてしまう
新の手が小刻みに震えていた
「新・・・顔見せて」
「っ・・・嫌だ」
「お願い」
「・・・・・無理ッ」
どうしよう・・・嫌だって言ってるけど
今、新がどんな顔をしているのか
「顔上げて」 見たい
そう言って、新の髪にキスをした
「なっ・・・」
それに反応してバッと顔を上げた
新の顔を見るとまた鼓動がトクンと脈を打つ
「・・・顔真っ赤」
「うっせえ黙れ!!熱のせいだ!」
耳まで真っ赤に染めて
必死にあの強気な目でそう言ってくる
「俺は・・・会長が好きなんだ」
震える声で新がまた呟く
「うん」
「でも・・・・」
そう言うと新はまた下を向いてしまった
「でもなに?」
「っ・・・・・・・・がと」
「え・・・?」
その声があまりにも小さかったから
上手く聞き取れなかった
「新、もう一回言って?」
つい、またそう聞いてしまう
「だからっ・・・あり・・がと」
「・・・・・」
「お前の事はむかつくし嫌いだけど
今日は・・・その・・・助かった・・・
お前が居てくれて・・・
よ・・・良かった・・・なんて」
「っ・・・・・」
本当に・・・お前って
「ちょっ!なにすんだよ!」
そう言ってくれただけで
心の重みが軽くなった気がした
もう触れてはいけないと
そう言い聞かせていた鎖が解けるようにして
気付いたら俺はまた新を強く抱き締めていた
「っこら眼鏡くそっ!離せっ!」
「少しだけ・・・」
「馬鹿やろっ・・・風邪移るっ」
「いいよ・・・新の風邪なら」
「・・・っ・・・苦しい」
「ごめん・・・でも・・・もう少しだけ」
重なる肌から新の鼓動が聞こえる
もうひとつ、全身を響いて聞こえてくる音
「・・・眼鏡・・・お前心臓うるせえぞ」
「・・・うん」
「本当に風邪移るぞ」
「うん・・・新も心臓の音凄い」
「だから・・・俺は風邪のせいだよ」
「・・・そうだな」
それでもいいよ
素直じゃないお前も
こうやって真っ直ぐ俺の事
見ようとしてくれるお前も
ほんとに全部好きだ
「・・・め・・・がね」
「・・・なに?」
「・・・・・」
ぎゅっと俺の背中に手を回して
新はまた小さく口を開いた
「・・・・今日は・・・
何もしねえのかよ・・・」
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