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偶然と運命
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皆さん、忘れているでしょう僕の事。
ええ、忘れた頃にやってくる
大崎忍ですよ。
根暗で性格ひん曲がった
教室の片隅で背中丸めて毎日
廊下を通りすがる上城先輩を見て
はぁはぁ言ってるキモい男ですよ。
あれから渋谷君と上城先輩が
どうなったかなんて知らないけど
昨日1番可哀想だったのは僕だよ。
クラスメイトを心配して
この僕から声を掛けたのに
こ の 僕 が !!
それなのにあの渋谷君には
アッサリ無視されて逃げられて
人の親切は有難く受け取れよな!
リリースしやがって!
キャッチすらしてくれなかったよ!
その後上城先輩と会って、
渋谷君の事を話したら
先輩は僕に振り向きもせずに
どっか行っちゃうし
でも、先輩が僕の名前覚えていてくれたのは
めちゃくちゃ嬉しかったなあ。
「・・・先輩」
「おっ!忍ー!」
「っ!!」
ええ。良いことがあれば悪い事は
その倍になって返ってくるんだ。
先輩に会った後、会った後だよ。
舞い上がった幸せ心地を
地の底へと転落させる出来事が
この僕にはあったんだ。
「あ・・・秋人・・・君」
「なんだよ、案外早いのな」
「う・・・うん」
「んじゃ、帰ろうぜ!」
・・・・どうしてこの僕が
あの時の赤髪ヤンキーと
「どした?」
「い、いや!なんでも・・・」
「?」
一緒に帰らなくちゃならないんだ!!!
地獄への足音が聞こえたのは
先輩が僕から去って行ったそのすぐ後
雨が降る中、いつも通りに
いつも寄ってる本屋さんに行こうとしたんだ。
雨だったし、傘さしてたし
そりゃ見える視野は狭くなるよ。
そんな時だ。
もう少しで目的地に辿り着いたのに
「っ!!」
傘が向かいから歩いていた人の
傘に当たったんだ。
いや、普通そんなの気にしないよね?
普通に日常茶飯事だよね?
雨の日傘と傘がぶつかるのなんて。
しかも僕は避けたつもりだったんだよ!?
それなのにさ・・・
「おいっ、てめえ何ぶつかってんだよ」
「へっ!?でも僕・・・」
避けたよな!?
「ああ?てめえのせいで肩が濡れちまったじゃねえかよ」
いや、あんたの体に対してその傘が
小さすぎるんじゃないのか・・・
「す、すみません・・・」
なんて言ったら殺される。
とりあえず謝れば済むと思ったんだ
どうでもいいからこんな店前で
言い争いなんて嫌だし
「謝って終わりかよ?」
まぁ一番問題だったのは
こいつが不良ということだ。
「えっ・・・でもっ他になにもっ」
胸倉を掴まれて、今にも殴られそうだった
「はあ?クリーニング代でも
出せば許してやるよ」
何?最近ほんとに低レベルな
カツアゲが流行ってんの?
もうほんとヤダ
「お、お金はっ・・・」
「んだよ!どうせ結構持ってんだろ!?」
「ひっ・・・」
お母さん。ごめんなさい。
忍はお金より命が大切です
「っ・・・!!」
「おら出せよッぐはっ!」
・・・ぐは?
その時、胸倉を掴んでた男が
その場に倒れた
頭にでっかいタンコブ出来てたから
通りすがりの正義感の強い
サラリーマンでも助けてくれたのかと思ったんだ。
ああ、なんだ。
めちゃくちゃいい人じゃんか
世の中まだ腐ってないな
「あ、ありがとうございま・・・」
「なんだよ。こないだの地味男かよ」
「・・・・・・」
赤髪の・・・サラリーマン?
いや違うよ。
この声。この髪。この制服。
「あ・・・あの時の・・・」
赤髪ヤンキィィィイイイ!!!!
「なんだ?」
そう、これが僕とこのヤンキーとの
二度目の出会いだ
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