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カレーは自由な食べ物
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「こ、小夏ちゃ〜ん、いいじゃないのぉ〜」
「らめよぉ〜らめらめッ」
「・・・・」
えーと。僕は今何をしているんだ。
あれから5分後に、
またすぐ小夏ちゃんと春人君がこっちに来て、
日本エレキテル・・・なんとかごっこをしたいと言い出されまして。
「ちのぶッ!もっかいッ」
「は、はい」
で、今に至ります。
秋人君はあれから台所に篭っちゃって、
春人君は僕の腰にしがみついて離れなくて、
こんな小さい子と遊んだ事なんてないから、
どうしていいか全く分かんないよ。
「にぃにぃ!おなかしゅいたッ!」
小夏ちゃんは元気だなぁ。
春人君は少し内気な性格かな?
行動が僕の小さかった頃に似てる。
「ん、何かいいにおいしてきたね」
台所から、食欲を誘う香りがしてくる。
「「かれーだぁッ!!」」
クンクンと、においを嗅いだあと、
小夏ちゃんと春人君は口を揃えて喜んだ
「おーしっ、出来たぞ〜!」
やがて秋人君が大きな鍋を持ってきて
その後にお皿、スプーンにコップ
おまけにポテトサラダまで出て来て
テーブルが一気に賑やかになった。
「小夏、春人、手洗って来なさい」
「「ふぁーいッ!」」
手を上げて元気良く返事をした二人は
そのまま手を洗いに行った
なんだか、毎日楽しそうだな。
少し、ふっと笑みが零れる
「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ」
家族水入らずの中に、僕は邪魔だしね。
立ち上がって、鞄を持とうとした時
「忍も食ってけよ」
「え?」
秋人君に、そう言われた
「で、でも僕・・・」
「なんだ?もう家に飯あんのか?」
「いやそうじゃなくて・・・僕が居たら邪魔かなって」
ボソっと呟くと、秋人君が肩を抑えてきた
顔がやけに近い・・・
「何言ってんだよ!
今日はお前の為に作ったんだぞ
邪魔だなんて思ってねぇし。食ってけよ!な?」
「・・・・へ、へい」
あまりにもキラキラした笑顔で言ってくるから、
断れなかった。
「んじゃ、せーのっ」
「「「いただきま(しゅ)す」」」
秋人君の合図で、頂きますをして。
僕はスプーンを手に取った
献立はナス野菜カレー。
なんだ。この為に買ったのか。
食べるなんて思ってなかったから
言えなかったけど、
僕、人参嫌いなんだよなあ。
でも、折角作ってくれたんだし、
食べないと失礼だよね。
ふっ、と息を漏らして、一口食べた
「んっ!」
「どうだ?美味いか?」
「・・・・っおいしい」
「よっしゃっ!」
僕が呟くと、秋人君はガッツポーズを決めた
どうしよう。本当においしい。
人参ってこんな味だったけ?
「小夏、ちゃんとナス食え!
あっ、こら春人!ルーばっか食ってたらご飯残るぞ!!」
二人の小さな子を相手に、
秋人君は忙しそうだった。
「ほら、肉やるから野菜も食え」
「やらっ!やしゃいきりゃい!」
「兄ちゃん野菜食べない子嫌い」
「ふぇッ・・・・・・・った、たべりゅ」
秋人君にそう言われて、小夏ちゃんは
涙目で野菜を口に運ぶと
秋人君は頭を撫でて、偉いぞって
言ってあげていた。
まるで、お母さんみたいだ。
「ふふっ」
なんかいいなぁ。こんな家庭
「忍?何笑ってんの?」
「い、いやっ、なんでもないっ!」
おっと、危ない・・・
気が緩んでしまった。
仮にもこやつは不良。
どんなに良き兄でも、不良は不良だ。
気をしっかりと持て忍!!
「・・・・・」
パクパクとカレーを口に運んで
自分にそう言い聞かせた。
そして、また秋人君を見ると、
何やら僕の事をじっと見つめている
「・・・・・」
「・・・な、なに?」
え、なんですか?
そんなガン見されたら食べにくいんですが・・・
「忍・・・」
秋人君が僕の名を呼んで、
そして手がこちらに伸びてくる
「えっ、なにっ??」
突然のことに、僕は目を瞑ってしまった。
そして、唇に何かが触れる
「ん、口にカレー着いてた」
「へ?」
ぱちっと目を開けると、
僕の口に着いていたカレーを
秋人君が指で拭ってくれていた
「あ、ありが・・・」
「ん。」
「っ!?」
ありがとうと言おうとしたら
秋人君は指に着いたカレーをペロリと舐めた
「ちょっ!何してんのっ!」
「なにが?」
「何がじゃないよっ!そ、そんなの舐めるなんてっ!」
か、仮にも人の口に着いた物だぞ?
何そんな平然とした顔でそんな事してんの!?
「別にいいだろ。」
良くないよっ!
まるで、こ、恋人みたいじゃないかっ
顔がカッと熱くなって
僕は口をぱくぱくさせた
そして、何やら秋人君の隣から
黒いオーラを感じとった
そっと目をやると、眉毛を釣り上げ、
目に涙を浮かべる小夏ちゃんだった
「小夏?どうした?」
「に、にぃにのッ・・・うわきものぉぉぉおおおお!!」
スプーンを秋人君に投げつけて、
小夏ちゃんはまた部屋に走って行った
すると秋人君は凛々しい顔つきで
春人君の方を向いた
「春人!今だ!
傷付いた乙女のハートを癒してこい!」
「ふぁいっ!!こなつちゃあーん!」
秋人君がまたそう言うと、
春人君は敬礼ポーズを取って小夏ちゃんを追いかけた。
二人が部屋に戻ると、一変して静かになった
「ふぅ。よし、食うか!」
「・・・・・・」いやいや。
ほんと、なんなのこの家は。(二回目)
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