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心のトゲ
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次の日から学校はいよいよ文化祭に向けて
一段と盛り上がりを見せて賑やかになった。
朝も、昼も、放課後も
どの時間も俺達生徒会は演劇の練習と
舞台の準備で大忙し。
「なぁ大崎、部長さん知らねえ?」
「ひゃっ!」
「・・・・・・」
そして、何故か俺は大崎に酷く避けられるようになった。
「なんで逃げんだよ」
今日の放課後も、もちろん演劇に向けての準備。
練習量が少ない役の俺は
舞台のセッティングの仕事に回されて、
今、看板作りをしている。
「はぁ・・・ここ、これでいいのか?」
大きな木の板に赤いペンキを塗ってるけど、
これでいいか分かんねえから
部長さんに聞きこうと思ったのに・・・
「つーか。なんで俺だけ雑用なんだよ。」
ペタペタとペンキを塗りながら
地味な仕事に不満を感じ声を零した
「調子はどう?」
「もう最悪だよ。ペンキの匂いキツイし、
さっきからずっと赤、赤、赤。
赤いペンキが目に染み付きそうだ」
「ふふっ。そうなんだ」
後ろから声を掛けられて
ペンキばかりに気を取られていた俺は
誰に声を掛けられたかも気付かないまま、
適当な事を言ってしまった
そして、振り向いてみると
「か、会長っ」
にこにこ笑顔で俺の後ろに立つ会長だった
「ど、どうしたんですか?
演技の練習してたんじゃ」
「うん。
一息ついたから、新の様子でも見に行こうかなって。」
そう言いながら、会長はしゃがんで
俺と同じ目線に顔を落としてくる
「何か手伝おうか?」
「や、・・・大丈夫です。
その、汚れるといけねぇですし」
キラキラした会長が目の前に来ると
ペンキなんて、俺の仕事で良かったと思えてくる。
会長をペンキ係になんて、出来やしない。
「なんで?別に汚れてもいいよ」
「駄目です。・・・もう終わりますし」
とにかく、塗りたてホヤホヤのペンキにだけは
会長を近付けてはいけないっ
俺は、ペンキから会長を守るっ
「・・・ここ、塗り忘れ」
キッとペンキを睨んでいると
会長にそう指摘され、俺は会長の
指差す場所に目をやった
「あ・・・・・・ほんとだ」
「ふふっ」
「・・・・・・」
そして、またペタペタとペンキを塗る。
その間ずっと会長は俺の事を見てきて
目が合っては、にこりと微笑んで来る
「・・・・会長」
「ん?」
そんな見られたら
「・・・・っ」
塗りにくいっス!
「な、なんでもないです」
慌てて顔を逸らして、
また作業に戻ろうとした
「っ!!」
そのあとすぐに、会長が何やら
声を零して、俺はまた会長の方を向いた
「??会長?」
会長は手を押さえていて、
よく見ると、指に何かが刺さったみたいだった
「大丈夫だよ。ちょっとこの板に触ったら、
トゲが刺さっちゃったみたい。
不用意に触れてはいけないね。」
指を押さえながら、会長はまたふふっと笑った
「ちょっ、見せてくださいっ!」
「えっ?あ、新?」
会長の手に掴みかかるようにして
俺は会長の手を握った
人差し指に、プツっと赤い点が出来ている
小さいけど、これ痛えだろ・・・
「救急箱持ってきますから!」
「いやっ、いいよこれくらい」
「大丈夫じゃないです!
手は大事にして下さい!
そこで待ってて下さいね!」
「え、新っ・・・ちょっ」
俺を引き止める会長を置いて
俺は急いで保健室に向かった
「とりあえず、ピンセットとかも要るかな?」
トゲって、それで抜けるのか?
絆創膏も、要るよな?
小せえ傷だけど、バイキン入るといけねえし
つか、なんで板にコーティング剤塗ってねぇんだよ
そりゃ刺さるだろ部長さんっ!
「保健室遠い・・・」
そんな事を思いながら
俺は保健室に向かって走った
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