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厄日は良いことなんて一つも無い
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クラスの鬼女達に、言われた通りに
僕はあのままの姿で校内を歩いた。
僕が前を歩く度に、
今まで僕に気付きもしなかった人達までもが
変な目で見てきて
いや、そりゃ気付かれないように存在を
薄めまくってたのは僕だけど
「・・・この格好じゃ、薄める事なんて出来ないじゃないか」
誰にも見られたくないし
特にこんな格好で、渋谷君とばったり会ってしまったら・・・
また、あんな思いをしなくちゃいけなくなる
正直言って、あの時の渋谷君は野獣だった
可愛い面した恐ろしい子ライオンみたいだったよ
まさか、僕の女装であんなになるなんて・・・
「かーのじょっ❤︎」
「ひゃぃっ」
なんて事を考えながら、
2階から1階に降りる階段の途中で
誰かに肩を叩かれて呼び止められた
「その格好エロいねぇ〜❤︎
ちょっと俺暇してんだけどさぁ
良かったら一緒に校内回らねえ?」
・・・・・最悪だ。
この人、僕の事を完全に女だと思ってる。
しかも、なんだよ暇だからって
何のために文化祭に来たんだよボケが
「ワ、ワタシ日本語シャベレナイアル」
とにかく、振り向かずに、
このままなんとかなり過ごそう。
変な喋り方をして、肩に置かれた手を
軽く振り払い、階段を降りようとした
「ははっ、何?アルって(笑)
なりきるなんて可愛いねぇ❤︎」
まぁ、そうでしょうね。
簡単に離してくれる訳ないよな(怒)
「ちょっ、離して下さいっ」
「あれ、思ったより声低いのな!
まぁいいじゃん❤︎一緒に遊ぼうよぉ」
き、気持ち悪い
これだから女装なんて・・・ロクなことがない
「離せっ!!」
「っと・・・・お、い」
思いっきり手を振り払った時
「・・・・え・・・」
ふわりと体が宙に浮いて、
その男の顔がだんだん遠くなった
「え、っ、まっ・・・」
って!!!お、落ちてる!!!
最悪だっ、手を振り払った時に
態勢を崩してしまって、そのまま・・・
あぁ。本当に最悪な文化祭だ
文化祭が命日だなんて。
上から下へと落ちている間
色んな事が頭を過った
もしこのまま、頭でも打って死んだら
二度と先輩には会えないのかな
結局、僕は何も出来ないまま
ただの陰キャラ根暗男で死ぬんだ
いや、今はただのチャイナ・・・・
お母さん、ごめんなさい。
忍は男らしく死ねませんでした
「さ、さよなら・・・(泣)」
涙が落下と共に宙に舞って、
目の前が一瞬にして暗くなった時、
「どわっ!」
腰に衝撃が走り、それと共に
そんな唸り声が聞こえた
「っ・・・痛っ・・・」
ってあれ、・・・あんまり痛くない・・・
というか、・・・生きてる
「ぼ、僕・・・生きてる!(喜)」
打った腰を摩りながら
生きてる事への喜びが溢れてきて
バンザーイと両手を上げている時だった
「おい・・・てめぇ(怒)」
バンザーイが四回目に差し掛かろうとした時、
ドスの効いた声が、僕の下から聞こえた
「・・・・・・え」
いや、まさかな。気のせいだよな。
多分僕の下に居るのは絶対に
鬼なんかじゃ・・・・ない・・・よね?
手を上にあげたまま、震える中
ゆっくりと視線を下に落としてみると
「いてぇじゃねえかよこの野郎が(怒)」
「・・・・・ぁ」
お母さん。
僕はあのまま死んだ方が良かったです。
だって、多分僕はこの後殺される
「で、どうしてくれんだぁ?」
「ひっ・・・」
僕が落ちてしまったのは地獄では無く
地獄を支配する巨大な鬼の上だったから
「だ、大丈夫っすか??」
この人の連れらしき人達が
また僕の周りを取り囲んでくる
「ご、ごめんなさい・・・・」
「女だからってこれは許せねえよなぁ?
骨折れてたらどうしてくれんだよ?」
まぁ、確かにこの高さから人が落ちてきて下敷きになったら
折れてないとは限らない。
むしろ、無事な方がどうかしてる
「女ぁ、今からちょっと来いよ」
・・・・確実に言えることは
本当に、今日は僕の命日になりそうです。
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