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最悪な事態の最良の選択
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あれからすぐ、秋人からメールが届いた
場所は、俺も大体は想像して居た所。
「南校舎の裏にある倉庫・・・」
会長達と合流して、大崎の事と居場所を話すと
会長は内線で職員室にその事を伝えた
「はい。・・・はい、お願いします」
先生に事情を話し終えた会長は
内線を切り、俺達の方を向いて
険しそうな顔をした
「先生が今から向かって来れるみたいだけど、
校内がこの事で騒ぎになるのは避けたいそうだ。
なるべく他の生徒には内密にと言っている。
僕達はこの場から動かない様に、
これからの演劇に備えてほしいそうだ」
「お、大崎の所に行かないんですか!?」
先生の言ってる事は分かるけど、
それで黙って待ってろって言うのかよ
「新、大声出すな」
取り乱しそうになった俺の背中に
眼鏡がそう言ってきた
「でも、ダチが大変な事になってんのに、
黙って居ろだなんてっ・・・
演劇とかしてる場合じゃ・・・」
拳に力が入る
なんでこんな時に、別の事を優先させなくちゃならないんだ
「僕だって、助けに行きたいよ。
大崎は大切な生徒会のメンバーだ。
だけど、僕達は自分達のするべきことをしなければならない。」
「っ・・・・」
なんで、そんな冷静に考えれるんだよ
「・・・・・・」
やっぱり、俺も行けば良かった
こんなとこで、何もしないでただ待つくらいなら
秋人と一緒に、助けに行くべきだった
「俺・・・やっぱり行きます」
秋人が向かってくれたとはいえ、
それで無事とは限らない
もし大崎に何かあったら・・・
「新、冷静になれ」
眼鏡がそう言ったけど、聞く耳を持たなかった
納得行くわけねぇだろ
何が生徒会だ
ダチ1人の為に行動を起こせないのに
何が生徒の代表だよ
他校の秋人に任せっきりで言いワケねえ
「会長っ!!」
足を生徒会室の入り口へと
向かわせようとした時、
部長さんが慌てて入ってきた
「会計君が居ないってどう言う事ですか!?」
額に汗をかきながら、
部長さんは会長に詰め寄った
「舞園、落ち着いて」
「落ち着いてなんていられませんよ!
もう開演10分前なんですよ!?
主役が居ないじゃどうしようも出来ないじゃないですか!!」
ダンッと机に手をついては
会長に向かってそう叫んだ
「舞園、大崎が今大変なんだ。
悪いけど、劇は最悪中止と見ておいた方がいい」
「なっ・・・」
会長の言った言葉に反応したのは俺。
そのあとすぐ、部長さんも同じように
目を見開いては、また会長に詰め寄った
「そんなっ!もうホールには
大勢の人が来てるんですよ!
今更中止だなんて!そんな事できません!」
また机に強く手を付いて
会長にそれを訴えている
「部長さん・・・・」
その部長さんの姿を見て、
眼鏡が言っていた冷静という言葉を思い出した
そして、眼鏡の方へ目をやると、
腕を組む手に力が入っていた
会長も、言ってる事は冷静だけど、
表情はどこか険しかった
「・・・・っ」
会長も眼鏡も、きっと本音は
大崎の事が酷く心配なんだ
けど、俺達は残された仕事をやり遂げないといけない。
それが、生徒会になった者の責任
「あの・・・」
「どうしようっ、もう時間がっ」
部長さんは頭を抱えてしゃがんでしまった
「ぶ、部長さん!」
そうだ・・・信じる事も大切だ
秋人なら、大崎を助け出してくれる
そして、大崎は絶対帰ってくる
「新?」
「開演の時間を伸ばす事って出来ないですか?」
ただ待つだけじゃなくて、
俺は、俺達は今出来ることを
「っ、そんなの・・・」
「演劇は絶対に中止にはさせないです!
大丈夫です!部長さん!
だから、俺達は今出来る事をしましょう!」
大きく叫んだ時、会長と目が合って、
会長は俺の気持ちを汲み取ってくれたのか
いつもの落ち着いた表情に戻って
部長さんの肩に手をついて口を開いた
「舞園、演劇の中で流すナレーションを
劇のプロローグとして流して。
それで時間を稼ごう」
「ふぇ・・・でも、それじゃ10分くらいしか・・・」
けど今はそれしか方法はない
後は大崎が戻ってくるのを待つしか・・・
「もし、大崎が出演出来なかった時の為に、
主役の代理を用意しておこう。
覚えきれない台詞は、カンペでカバーしよう」
そうだよな。最悪な事態に備えて
その準備もしなくちゃいけねえ
1ヶ月間、演劇部の奴らも
必死になって練習したんだ
この際、替え玉でも何でも・・・
「でも、会計君の身の丈に合わせた衣装なんて、
他の子は着れないですよっ
演劇部にはそんな小柄な子は居ないですし、
会計君と体型体格が同じ子なんて・・・」
部長さんが小さくそう言うと、
はっ、と何かを思いついたように、
3人は目を合わせ、俺の方へと視線をよこした
「・・・・・会計君と」
「同じ・・・」
「身の丈」
言葉を繋ぐようにして3人は呟き
俺の体を舐めまわすかのように見てきた
「・・・・・・・・え」
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