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不思議な人
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頭の中が恐怖でいっぱいだった時、
物凄い音がして、それと共に誰かの声が聞こえた
「なんだぁてめえ?」
薄暗かった倉庫内が一気に明るくなり、
一人の不良が扉の下敷きになって、動かなくなっていた
いや、死んではないと思うよ
けど、あの頑丈そうな扉を
蹴破るなんて・・・一体誰が
急に明るくなったから
目が暫く視界に慣れなくて、
やがてボンヤリとはっきりし出した視線の先には
「あ・・・・秋人・・・君」
「待たせたな。忍」
「・・・・・」いや
いやいやいやっ、何であんたが!!
「ど、どうしてっ」
助けが来たと思ったら、
助けに来た奴も不良だった
「おい、誰だって聞いてんだろ」
「忍、なんて格好してんだよ」
他の不良の言うことなんか
まるで聞こえてないみたいに、
秋人君はそのまま僕の方へと近づいて来た
「おいてめえ」
「忍」
そして、僕の目の前に来て、
しゃがんでは睨んで来た
「・・・・ふぇっ、ご、ごめんっ」
めちゃくちゃ睨んで来るから
僕が文化祭の日を嘘ついて教えた事を
きっと怒ってるんだと思った
さっきまでは貞操の危機に瀕していたけど、
今は本当に命を取られると思って
秋人君の目が見れなかった
「なぁ・・・」
「ひっ!」
急に僕の方へと手を伸ばしてきたから
怖くてまた目をぎゅっと閉じた
なんだよっ!助けにしたんじゃなくて
僕を殴りに来たのかよっ!!
「・・・・なんだこれ」
ビクッと身を縮めると
秋人君の手が髪に触れたのが分かった
「な・・・なに?」
「んー。どうなってんの?本物?」
わしゃわしゃと、女子に付けられた
両サイドの付け髮を弄ってくる
「ふっ(笑)
なんか、ミッ◯ーみてぇ(笑)」
「・・・・・・・・」
はぁあ??
「ちょっ、秋人君っ」
「服装に髪型まで本格的とは、すげえな!」
なんなんだこいつは!
この状況でなんて陽気な奴なんだ!
「秋人君っ!(怒)」
「忍」
しつこく髮を触ってくるから
怒ってやろうと思った時、
秋人君はいきなり僕の手を掴んできて
軽く手にキスをしては
耳元に口を近づけて来た
「ちょっとだけ、目ぇ閉じてろ」
「えっ・・・」
耳元でそう呟き、さっきとは違ったその声に
顔が急に熱くなって
心臓がドクドクと唸り始めた
そして何故か、
さっきまでの体の震えが止まっていた
「さてと、」
そして、秋人君は立ち上がって
鬼達の方へと体を向けた
散々秋人君に無視をされた鬼達は
どうやら更にご立腹のようで
顔に筋を走らせてはこちらを睨んでいた
「てめぇ、よくも俺様を無視して
目の前でイチャつきやがったな」
「は?もっとイチャつきたいんすけど。
なんなら、あんたら邪魔っすよね?
空気読んで出てってくれないっすか?」
そんな鬼達に、油を注ぐようにして
秋人君はとんでもない挑発をした
「口だけは達者だな。ボコボコにしてやるよ」
大柄な鬼からビキビキと
額に筋が入る音が聞こえた気がした
もう、ちびりそうだよ。
怖いよ。なんなの不良って
いつも喧嘩の始まりってこんなんなの?(泣)
「時間ねぇし。五分でケリつけてやる」
秋人君はため息混じりにそう言うと
指をバキバキと鳴らし始めた
「ガキが。やれるもんならやってみろよ」
キリスト様。イエス様。
僕は無宗教ですが
貴方が今、この地獄で暴れようとする
鬼達から僕を救ってくれるなら
僕はこの先一生貴方を崇拝します。
だから、どうか助けて(泣)
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