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男なら覚悟を決めろ
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開演時間が過ぎて、会長の言った通りに
劇の途中で流すはずだったナレーションを
少しだけ、劇のプロローグとして紹介し、
今はそれで時間を稼いでいる
その後すぐに秋人から電話があって、
大崎の事を聞こうとしたら、
いきなり会長に携帯を取り上げられ
会長はそのまま秋人と話をしている。
「・・・ああ、・・・そうだね。
・・・分かった。ならそっちは任せるよ」
相づちを打つ会長を見ながら、
一体どうなったのかと思って
俺は会長の前をウロウロした
「分かった。ありがとう」
暫く話した後、会長は電話を切って
俺の方に携帯を差し出して、にこりと笑った
「大崎は無事みたいだよ。」
「ほ、ほんとですか?」
その言葉に、体の中から緊張が解け
肩をふっと下ろした
良かった・・・
これで、なんとか演劇に間に合う
「ただ、」
良かったと安心して、ホッと胸を撫でた時
会長は何やら少し低い声で呟いた
「大崎は演劇には出られない。」
「ふぇ?」
・・・・・・な、なんで?
「舞園、衣装の準備を」
「了解しました!」
いや、ちょっと待ってよ。
説明して下さいよ。
なんで大崎は出れねえの?
「ちょっ、会長っ!なんで大崎が」
「書記君!動かないで下さい!」
会長に問い詰めようとしたら
部長さんに捕まってしまい、
俺はグイグイと生徒会室の奥へと引きずり込まれた
「新、説明している暇が無いんだ
僕と成海は先に舞台裏に行っているから」
「や、ちょっ!会長っ!」
そう言っては、二人はそそくさと
生徒会室を出て行ってしまった
「書記君!約束ですからね!
今更嫌がらないで下さい!」
「嫌ですよ!!なんでこんなっ!」
俺の腕を引っ張る部長さんの手を、
振りほどこうとして振り向くと
「や・く・そ・く❤︎ですよね?(怒)」
「ひっ・・・」
暴れまわる俺に、部長さんがとうとうキレて、
まるで殺人鬼のような目つきで睨んできては
俺の服を無理矢理脱がしてきた
「・・・っ」
約束
約束なんて、しなければ良かった
「ほらっ!やっぱりピッタリですね!❤︎」
「・・・・・」
大崎が着るはずだった衣装を着らされ
その姿を見るなり、部長さんは上機嫌になった
「む、無理ですよ・・・こんなの」
「大丈夫ですって!
台詞はちゃんとカンペ出しますから!」
や、・・・・そう言うことじゃなくて
やけにキラキラと目を輝かせながら
ビシッと俺を指差してそう言っては
これまたにこにこと笑っている
「お、俺の役はっ?小人Aはどうなるんですか!」
「小人の1人や2人!居なくなっても分かりませんよ!」
ひでえっ!!!
俺の元役扱い酷くね!?
「会長と副会長がフォローしてくれますから!
もちろん、わたし達演劇部も、
全力でサポートしますから安心して下さい!❤︎」
だから、そう言うことじゃなくてさ
「・・・・でも」
なんで、脇役ですらなかった小人の役から
「でもじゃない!!」
「っ・・・」
ヒロインに昇格しなけりゃならないんだよ!!!
嬉しくも何ともねぇよ!
「書記君、覚悟を決めて下さい!」
「そ、んな・・・」
部長さんにキリっと睨まれて、
俺は下を向いてしまった
・・・・約束とは
大崎が劇に出られないと判断した時は
替わりに俺が代役になるというもの
何故俺なのかと言いますと、
大崎に合わせて繕ったこの衣装は
まるで俺に合わせて繕ったかのように
サイズも丈の長さもピッタリと同じだった
ちょっと、ショック。
大崎よりは身長あると思ってたのに
「・・・うっ、す」
まさか、ほんとに代役になるなんて
思ってもみなかったから
全然心の準備が出来ていない。
「言葉遣い!お姫様なんですよ!
乙女の代表なんですよ!憧れなんですよ!
心を白雪姫にして!はい!深呼吸!」
っ無理だ!無理だよこんなの!!
投げやりにもほどがあんだろ!
なんだよ乙女の代表って!憧れって!
深呼吸なんて出来るか!
酸素が喉に詰まって死ぬっ
「じゃ、わたしは先に行って最終確認をして来ますから!
書記君も早く来て下さいね!
靴はそれですから!小人の靴と間違わないで下さいよ!」
ポイポイと、俺の足元に女物の
黒い靴を投げては、
部長さんは出て行ってしまった
「・・・・」
棚のガラスに映る自分を見ると
何故か口からたらりと血が出た
「ゴフッ・・・む、むりだ」
ガクっと膝を地面に落としては
口から流れる血を拭った
「・・・・っ(泣)」
俺、小人がいいよ
木がいいなんてもう言わねえよ
小人A。それが俺の本職でいいよ
「・・・戻りてえよ。小人に」
こんなフリフリのスカート履いて
大勢の前に出れるわけねぇだろ・・・(怒)
「くそっ・・・」
大崎は一体どうしたんだよ
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