アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
火種
-
突然体当たりしてきたかと思えば
その子は俺を突き飛ばして
また走り出しては振り向き
変態と吐き捨てて行きやがった
「ケツ触るくらいえいやんか」
まぁ、一応ありがとうって言うてくれたけど
「気性の荒い女は好かれんぞー」
なんて言葉をはーっと吐いて
その子が走って行った方に歩みを進める
「・・・いちいちデカイ校舎やな。
一日じゃ回りきれんがやない?」
校舎内を自由に行き来出来るこの文化祭で
日を合わせて偵察に来たのはえいけど、
いい加減人多いし、賑やか過ぎてもう疲れたわ
「やっぱ、ここも違うかな」
検討が外れたと思い、帰ろうとした時、
「演劇部の劇凄いらしいよ!」
「えっ!ほんとに!?
あたしも今から行くっ!」
「白雪姫が可愛いらしくてさ!」
「なにっ!それは行かねばっ!」
廊下ですれ違う奴等が、
口を揃えては演劇がどうのこうのと騒いでいた
「・・・白雪姫?」
そう言えば、さっき俺とぶつかった子も
白雪姫の格好しとったな
「・・・まぁ、最後にチラッと見ていくか」
それを最後にこの学校を出ようと思い、
俺はその演劇が行われているホールへと足を向かわせた
「人、多いなぁ(汗)」
どうやら中は満員らしく、入れる隙も無かった
とりあえず入り口から中の様子を伺うと、
舞台で演技をしているのは、やっぱりさっきの子だった
「・・・演劇部の子やったんか」
道理で、急ぎよった訳や
「・・・・・」
暫くその子の演技を見よると、
どこかぎこちなくて、正直言うて演技は下手やった
「・・・・・・」
それでも、何故か目が離せんかった
その子の表情に、引き込まれる様にして
俺は演劇を見続けた
そして、演技の内容が進む度に
その子の表情は更に豊かになって
王妃と王子が出てきた後なんか
より一層穏やかな顔で、イキイキしよる
「・・・・なんや、全然下手やないやん」
気付いたら、その子を夢中で見よった
「ふっ・・・・」
そして、自然と笑みが零れる
可愛い子やなあ・・・
さっきは、あんな酷い顔して俺を睨んできよったのに
「わ、わか・・・じゃなくてっ龍!!」
そんな時、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえた
「なんや桐島、息なんか切らしよって」
「っゼェ・・・ゼェ・・・はぁっ、
お前が急に居らんなるきやろが!
どんだけ探したと思うとるんや!」
顔を上げるなり、胸倉を掴んできた
おっと、目が鬼やな
こりゃ桐島だいぶ怒っちゅうわ(笑)
「すまんすまん、ちょっと運命の出会いとやらをしよったわ」
「はぁあ?頭でも沸いたか?
お前の女好きには心底呆れるわ!」
「聞き捨てならんぞ桐島ぁ!
仮にもこの俺様に何て口を効くぞ!
敬語を使え敬語を!」
ベシッと桐島の頭にチョップを入れた
「っ・・・で、一日校内見学して
どうだったんですか?(怒)」
ギロリと俺を睨んで、桐島はそう言うた
「ん?・・・ああ」
「??」
そして、視線をまた舞台へ向ける
「可愛いお姫様を見つけたかな」
思うたよりも、楽しくなりそうやわ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
133 / 617