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台本なんて有って無意味
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劇も中盤に差し掛かり、
いよいよ白雪姫を手に掛ける場面が近づいて来る
新の緊張もだんだん解けてるし、
このままやれば、まぁ大丈夫だろう。
「新、頑張ってね」
「は、はいっ」
「・・・・・」
まぁ、新が戻ってくるなり、
いちいち樹がそうやって駆け寄るのは
見ててムカつくけど。
「はぁ・・・」
正直、新のあんな姿を、大勢の前に晒すなんて
ただでさえ許せねえのに。
「・・・・新」
誰にも、見せたくねえのに
「次、上城先輩!準備を!」
イライラが募る中、
カンペ役の奴にそう呼ばれて、
壇上へと行こうとした時
「副会長っ❤︎」
ガシッと、赤メガネが俺の腕を掴んできた
「は?なんだよ?」
「ふふっ❤︎ちょっとこれに着替えて下さい❤︎」
にこにこと笑っては
何やら俺に黒い衣装を渡してきた
「着替える?もう出番が回って来るんだぞ」
「いいですから!❤︎こっちで時間稼ぎます!」
そう言っては、背中を押されて
舞台裏の隅へと連れてこられた
「・・・・おい、この衣装」
「ふふ❤︎思いのほか劇の受けがいいので、
ここらで少し捻りを入れます❤︎」
捻り?・・・なんだよそれ
「おい・・・」
「劇にアクシデントは付き物❤︎ですよ?」
アクシデント?なんだそれ・・・
意図的に仕掛けるつもりかよ
ただでさえ新がテンパってる中
演技してるってのに
「副会長っ、壇上に上がったら
すぐにわたしの方を見て下さいね❤︎
後のことはそれから指示します❤︎」
「は?」
赤メガネはバチっとウインクをして
カンペ役の元へと掛けて行った
「・・・・・」
とりあえず、時間も無かったし
渡された衣装に着替えて、
あいつの言った事に疑問を抱えながら
壇上へと上がった
チラリとカンペを見ると
“ そこはそのままの台詞 ”
・・・なんだ?ここは普通で良いのか?
『なんて美しいお嬢さんだ
名前は何と言う?』
台本通りの台詞を言って新を見つめると、
何やら顔をポっと赤らめ、
少し震える声で台詞を言った
『し、白雪姫といいます』
手を握ったまま、小さく震えながら
潤んだ目で俺を見てきた
『・・・・っ』
なんだよお前、まだ緊張してんのか?
つか、なんで泣きそうなんだよ
なんで顔赤くすんだよ天使か
『そうか、白雪姫と言うのか』
ほんとに、
こんな新を他の奴に見られるなんて
『貴方は?』
そんな事をまた思っていると、
次の台詞へと進んでいく
『私の事かい?私は・・・』
その時、チラリとカンペに目をやると
『・・・・・・』
『・・・・??』
「(副会長っ❤︎頼みました❤︎)」
赤メガネがにやにやしながら、
カンペをバシバシと叩いている
そこに書かれていた文字を見て、
なるほど。と、笑みが零れた
『・・・(おいっ、どうしたんだよ)』
俺の異変に気付いた新は
小声で小さくそう言った
『・・・私が誰か、知りたいかい?』
『!?』
なんだ、あいつも気が効くじゃねえかよ。
『白雪姫・・・』
そのまま、魔女のマントを脱いで
俺は片膝を地面に着いて
新の手を取り、その手の甲にキスを落とした
『・・・ちょっ!』
突然の事に、新は驚いて素の声を上げた
『(ついてこいよ、新)』
カンペに記されていたのは
“ フリーダムにやっちゃって下さい❤︎ ”
『私は、貴方を王妃の魔の手から救いに来た
もう一人の王子です』
なら、遠慮なく。
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