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たとえ結果が分かっていても
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いよいよクライマックスへと入ろうとした時、
何故か台本には書かれていない事が起こった
「・・・・舞園、どういう事?」
壇上に上がるなり、成海は王子の格好へと姿を変えて
有るはずもない台詞を言っては
新に詰め寄っている
「ふふっ❤︎より劇を盛り上げようと
副会長に頼んだんです❤︎」
僕の目の前で、舞園は上機嫌な声でそう言った
『だ、だめです・・・』
新はこの事を知らされてなかったらしく、
混乱しながらも、必死にそれに対応しているようだった
「僕はこんな展開聞いてないよ?
舞園、何を考えてるの?」
「そんな怖い顔しないで下さいよ会長❤︎」
振り向くなり、舞園は僕の鼻先をツンっと指で突いてきた
「見て下さいよ会長❤︎
お客さんの受けもいいですし、
何よりも書記君のあの表情❤︎」
「・・・・」
そう言われて、また新達へと視線を移した
『白雪姫、愛しています』
特に台詞の指示をしている訳でもないのに、
成海は新にそう言葉を落として
新を引き寄せては、そのまま床に押し倒してしまった
成海が言った言葉は、白雪姫に言っているものじゃなく
まるで新自身に向けて言っているようにも聞こえた
『・・・だ、だめっ』
芝居だと、分かっているのに
分かっているはずなのに・・・
新が向けるその表情は
きっと芝居なんかじゃないと
思ってしまう自分がいる
「・・・っ」
何故、こんなにも胸が痛むんだろう
どうして胸のざわつきが収まらないんだ
「お二人とも、いい表情ですね❤︎」
心臓の辺りをぎゅっと握り締めて
ただその二人を見ていた時、
舞園は僕の方を見てはにこにこと笑った
「会長も、いい表情してます❤︎」
「・・・」
舞園の目は、まるで全てを分かっているようで
「台本を無かった事にするなんてね。
君らしいよ。」
本当に、この子には頭が上がらない
「で、これからどうするつもり?」
成海がネタバラしをしてしまった以上
内容がねじ曲がったこの状況を
舞園はどうするつもりなんだ?
「ふふ❤︎別にどうもしませんよ❤︎」
「え?」
「会長❤︎私は副会長にこう指示しました❤︎」
舞園は、何やら一枚のカンペの用紙を
僕の前に見せてきた
「フリーダム?・・・」
「はい❤︎あれは全て副会長のアドリブです❤︎」
アドリブ・・・・
あんな台詞を、成海が?
この大勢の前で・・・
そう考えると、また胸の辺りがチクリとした
「先程副会長に、白雪姫を殺して下さいと指示をしましたから、
もうすぐで出番ですよ?❤︎
そこからは会長にお任せします❤︎」
そう言っては、僕にウインクをして
舞園はまた壇上へと体を向けた
「・・・・」
そのあと、すぐに僕も目線を新達に戻すと
「・・・・っ」
成海が新にキスをしている光景が目に入った
「きゃっ❤︎副会長❤︎素晴らしいっ」
また、ドクっと心臓が疼く
成海が新から顔を離すと、客席から歓声が上がる
「はいっ!白雪姫は謎の王子のキスで
今死んでしまいました!❤︎」
舞園はより上機嫌になって
ピョンピョンと飛び跳ねては
僕の背中を押してくる
「舞園」
「会長への指示も同じです❤︎」
「??」
後ろから、僕の顔を覗き込んでは
舞園はまたふふっと笑った
「フリーダムに、ですよ?❤︎」
「・・・・・」
「ささっ❤︎出番です会長❤︎」
トンっと、背中を突かれ
足が一歩前に出た
そして、目の前から成海がこちらに歩いてくる
「・・・・・・」
「・・・・」
無言のまま、僕の横を通り過ぎては
成海は舞台裏へと入っていった
「・・・・舞園」
すれ違った時、成海からビリビリと何かを感じ取った
「なんですか?❤︎」
何故、あの成海が大勢の前で
あんな事が出来たのか、分かった気がするよ
「本当に、自由にしてもいいんだよね?」
それが分かった以上、
僕だって黙ってはいないよ
「はい❤︎ちゃんと終わりを締めてくれれば
それでオッケイです❤︎」
「分かった」
舞園の許可を得て、僕は新の元へと足を進めた
『・・・・っ』
辿り着くと、新は目を閉じたまま
手にぎゅっと力を入れている
死んだふりなのに、体を震わせて
顔を真っ赤にして・・・
『(新・・・)』
しゃがんで、新へと体を近付けると
僕の影に新は体をビクっとさせた
『(か、会長・・・?)』
目を閉じたまま、新は小さく僕の事を呼んだ
『・・・・・』
本当に可愛いよ
『でも・・・』
僕が見たいのはその顔じゃない
成海に向ける表情が見たい訳じゃない
『白雪姫・・・』
僕を見てよ
どんな時も、君のその顔を引き出すのは僕がいい
もう一度、あの時みたいに
僕にだけ向けてほしい
『(か、会長?・・・・)』
先程、成海から感じたもの
それは
強い独占欲
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