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ジレンマ
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二人に挟まれて、二人の手で俺はイかされて
ちゃんと言いたい事があるのに
それをどっちにも伝える事が出来なくて
どうしたらいいか分かんなくて
苦しくて、辛くて
それでも自分の気持ちははっきりしてて
だからこそ、嫌だったんだ
止めてほしかった
俺に触れてくる会長の手を
なのに眼鏡は何もしなくて
何も俺に言わなくて・・・
ただ、ずっと俺の体にキスをするだけだった
ようやく事が終わったと思ったら
また苦しい感情が込み上げてきて
その時、眼鏡がやっと何かを言おうとした
やっと・・・好きだって言ってくれると思ってたのに
「・・・・な、な・・に」
そいつが言った言葉は
俺の心臓を抉るような冷たい言葉
「だから、飽きた」
飽き・・・た・・・?
「な・・・なんだよそれ・・・」
心臓に、何かが刺さったみたいに
ズキズキと痛み出した
「成海・・・」
「樹」
会長が何かを言おうとしたら、眼鏡は会長を鋭く睨んで
その眼鏡の目に、会長は言葉を詰まらせた
「わ、わけ分かんねえ事・・・言ってんじゃねえよ」
なんだよ、飽きたって・・・
どうせまた嫉妬してそんな事言ってるだけだろ・・・
会長が居るから、余裕が無くて
強がってそんな事・・・
「っ・・・嘘・・・付くなよ」
「は?」
「・・・飽きたとか・・・変な嘘・・・言うなよ・・・」
なんで、そんな目で俺を見るんだよ
何か言えよ・・・
本当は俺の事、好きなくせに・・・
あんなに、大事そうに何度も抱き締めてきたくせに
「な・・・なんで・・・」
どうして抱き締めてこねぇんだよ
「なんで?・・・だから、飽きただけだって」
「う、嘘だ・・・っ・・・」
見え透いた嘘なんか付くなよ!
目ぇ逸らすなよ!
ちゃんと俺を見ろよ!
「はぁ・・・泣くなよめんどくさい」
「っ・・・」
めんどくさい?・・・なんだよ、それ
「つか、飽きたと言うより冷めた?
まぁ結構本気だったけど、お前の行動とか発言も面白かったし。
俺を好きになったらどうなるかと思って
その気にさせるような事してたけど」
眼鏡の言う言葉が、どんどん胸に刺さってくる
絶対嘘だって、自分に何度も言い聞かせても
体の震えは止まんなくて
「けどもういいわ。正直言って疲れた」
「ふ・・・ざけんな」
やめろよ・・・思ってもない事言うなよ
ちゃんと本当の事言えよ
「俺の、事・・・好きなんじゃ・・・なかったのかよ」
ちゃんと好きって言えよ・・・
さっき言った事は嘘だって安心させろよ
「・・・・・」
手が震えて、涙で視界が霞む
応えて欲しくて、また抱き締めてほしくて
優しく・・・名前を呼んでほしいだけなのに
「新・・・」
「っ・・・」
その時、眼鏡は俺の名前を呼んだ
けど、その声は優しくなんか無くて
「お前、もう要らねえわ」
「っ・・・な・・・」
要らない?・・・
「なに・・・言って・・・」
「はぁ・・・もういいだろ。俺行くわ。
後はお前らで好きにしろよ」
また、ため息を零しては
眼鏡は怠そうな態度を取って
生徒会室から出ようとした
「ま、待てよっ・・・眼鏡!」
その背中に手を伸ばそうとした時
「っ・・・か、会長・・・」
会長に、後ろから強く抱き締められた
「会長っ!離して下さい!」
必死に振り払おうとしても
俺を包み込む腕の力の強さに、どうすることも出来なかった
「っ、離して下さいっ」
追いかけないと
俺は、あいつを追いかけなくちゃいけない
ちゃんともう一度目を見て、ちゃんと本当のことを・・・
「行かないで」
その時、会長は俺の背中に顔を埋めてきた
ぎゅっと腕に力を入れては
少しだけ、震えていた
「か・・・会長・・・」
「新・・・」
「お願い・・・です・・・離して下さい・・・」
「離さない」
そう呟いては、また抱き締めてくる
扉から見えるあいつの背中が
どんどん小さくなって
伸ばす手だけが、あいつを追ってる
「新・・・好きだよ」
「っ・・・」
「大好きだよ・・・」
どうして・・・泣きそうな声でそんな事
「会長・・・俺、あいつの事が」
「聞きたくない」
「っ・・・」
背中から感じる会長の鼓動が
小さく俺に伝わってくる
震える手で俺を抱き締めては
震える声で何度も好きだと言ってきた
「分かってるよ・・・僕じゃ駄目な事も
新が誰を求めてるのかも」
「か、会長・・・」
「でも、聞きたくないよ・・・」
そう言った後、会長は泣きそうな声で何度も謝ってきた
「っ・・・・会長・・・」
「ごめん・・・ごめんね新・・・
離してあげれなくて・・・ごめ、ん」
少しずつ、小さくなる声と
それに反して強くなる腕の力に
「・・・うっ、・・・っ」
会長も、俺と同じ思いをしてるんだと思うと
胸が苦しくなって
「・・・・っ・・・」
涙が零れた
「・・・俺・・・なにしてんだ・・・」
あいつを追い掛ける事も
会長の手を振り払う事も出来なくて
胸の痛さは強さを増して
どうしようもないくらいに苦しい
「・・・・な・・・成海・・・」
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