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ごめんね
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成海が、何を思ってそう言ったかは分からない
新の言うように
嘘を付いているのかもしれない
でも
“ 樹 ”
あの目は、本気だった
本気で、新をもう必要としてない目だった
「うっ・・・・っ・・・」
成海は出て行ってしまって
新はそれを追い掛けようとした
でも、行かせたくなかった
「・・・・新」
「ぅ・・・っ・・・な・・・るみ」
泣いてる・・・
「ヒッ、ク・・・成海・・・っ」
新が、成海を呼んで泣いてる
「・・・っ・・・新」
「・・・い、くなよ・・・ぅっ・・・」
僕が何度も名前を呼んでも
新は応えてくれない
ただ、抱き締める腕に、
新は必死にしがみついてる
伝わってくるのは、新が成海を思う気持ちばかりで
「・・・・ごめん・・・」
成海を追い掛けたいのに、
僕が手を離さないからそれが出来ない
君を行かせてあげなくちゃいけないのに
僕の勝手な思いだけで、君を縛っては苦しめてる
本当に・・・・僕は最低だね
「離して・・・あげれなくて・・・ごめ、ん」
「・・・っ・・・かい、ちょ・・・」
「ごめん・・・新・・・」
ただ、僕の中にあるのは後悔ばかりで
新が僕に思いを伝えてくれた時
ちゃんと新を見てあげていたら
ちゃんと思いを受け入れていたら
「・・・っ・・・なん、で・・・謝るんですか・・・」
「・・・っ」
僕はこんな思いを
「・・・傷付けて・・・ごめん・・・」
新にこんな思いをさせる事は
なかったのかな
「・・・別に・・・会長が、謝る事じゃ・・・」
・・・・違うよ・・・僕が悪いんだ
成海に向けていた君の思いを
無理矢理縛っては、成海の元へ行かせないようにして
「・・・・かいちょ・・・っ、・・・」
それでも、少しの可能性に縋り付いて
また、新が僕を見てくれるんじゃないかと思って
「・・・新・・・」
もう一度、あの笑顔が見たかっただけなのに
「・・・好きだよ」
また、新を抱き締める腕に力を入れて
精一杯の気持ちを込めて、好きだと呟いた
「・・・っ・・・会長・・・」
でも、もう君は僕を見てくれない
「新」
だから、終わりにしなくちゃいけない
「・・・明後日の朝、いつもの時間にここで待ってる・・・」
「・・・え?・・・」
これ以上僕の気持ちを押し付けても
新が傷付くだけだ
「・・・その日に、返事を聞かせて」
「会長・・・」
応えなんて、分かり切ってるけど
それでも、今はこうして君に触れていたい
新の温もりを、ちゃんとこの手で
覚えておきたい
「・・・・それで、最後にするから」
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