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しるし
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代休が明けて、会長と約束した時間よりも
早く学校に着いてしまった
一昨日、家に帰ると思ったよりも冷静になれて
思いのほか夜はグッスリ眠れた
昨日も一日中あいつの事と
会長の事をずっと考えてて
でも何故か、考える程冷静になれた
「・・・・もう、いいのか」
眼鏡の奴が、最低なのは最初から分かってた
あいつがどんなに優しくしてきても
どうせいつかは俺の事を捨てると
心のどこかで・・・・
「・・・思ってた訳・・・ねぇだろ」
そんな事、思った事もなかった
安心してたんだ
眼鏡に好きだと言われる度に
こいつは俺の事を捨てたりしないって
絶対、離れて行ったりしないって
「・・・・・くそ・・・眼鏡が」
責任取れって言っただろが
なに放棄してんだよ
「・・・・ムカつく・・・」
心に穴が開いたみたいだ・・・
もう、会っても他人なのか?
名前すら、呼んでくれねぇのか・・・
教室に着いても、そんな事ばかりが頭を過って
鞄を置いては、窓の外を見つめた
「・・・・寒・・・」
この季節の朝方は、思ったよりも冷え込んで
両手を口元に持って来ては
はぁーっと息を吐いて手を温めた
「・・・ん?」
その時、左手に目をやると
指の付け根に、赤い跡が薄っすらと残っていた
「なんだこれ・・・」
どこかで挟んだりしたのかなと
不思議に思い、昨日までの事を思い出した
「・・・・こ・・・れ」
すると、一つだけ心当たりがあった
「あの時・・・眼鏡が」
これは文化祭の日、眼鏡の教室で
別れ際にあいつが俺の指を噛んだ時の・・・
「・・・・んで」
あの時の、あいつの言葉が頭を過る
「・・・っ・・・なんで・・・」
その手を胸の前でぎゅっと握りしめると
落ち着いていたはずの気持ちが込み上げてくる
「じゃあ・・・なんで離れるんだよ・・っ」
ボタボタと、涙が溢れた
眼鏡が付けた跡
左手の 薬指
“ それ 印だから ”
「っ・・・要ら、ねえなら・・・
印なんか・・・付けるなよ・・・っ」
胸が締め付けられる
痛い
苦しい
「・・・っ・・・あほ、が・・・馬鹿が・・・・
くそ、眼鏡・・・うっ・・・」
でもそれ以上に
愛しくて、恋しくてたまらない
「ぅっ・・・成海・・・」
消えて欲しくない
消したくない
あいつの中の俺を
「・・・成海・・・っ・・・」
もう俺の事なんてどうでもいいのかもしれない
今更好きだと言っても遅いかもしれない
それでも
「会いて・・ぇよ・・・・・」
ちゃんと向き合って、気持ちを伝えたい
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