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愛し方
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いつもより少しだけ遅く、俺は学校に着いた
いつも通りなら、このまま生徒会室に向かうけど
今日はどうしても足が進まなかった
「・・・・はぁ」
鞄を置いて、椅子に座って
窓の外を眺めた
昨日樹が俺の家に来ては
今日の朝、新に告白すると言っていた
そして、その返事を貰うと
「・・・・・っ」
まさか、樹が家に来るなんて思ってなかったから
全然身構えていなかった
「あいつ、・・・本気で新が好きなんだよな・・・」
そんな事をボソっと呟くと
昨日の樹の言葉を思い出す
「新が・・・俺を呼んで泣いてた・・・」
“ 泣いてた ”
その言葉を聞くと、
また自分への苛立ちが生まれる
文化祭の日、俺は新に酷い事をして
あいつの心を抉るような酷い事を言ってしまった
気付かれないように必死に冷静を保って
俺は最低な嘘を付いた
「・・・・」
でも、そうするしかなかった
そうでもしないと、
俺はあのままあいつを壊していた
いや・・・
俺自身がどうにかなりそうだった
新が俺に向けてくれてる気持ちには
本当は少しずつ気付いていた
それでも、浮かれてはいけないと思って
必死になってその気持ちを抑えて
少しずつ、新との距離を縮めようとした
ちゃんと、新が俺に好きだって言ってくれるまで
いつまででも、待つつもりだった
でもその欲は、日が経つに連れて大きくなって
文化祭のあの日、我慢が出来なくなった
新から俺にキスをしてくれて
俺の名前を呼んでは抱き締めてくれる
それだけで、嬉しくてたまらなかった
もう俺だけのものだって、
どこか決めつけていた自分がいて
早く新から好きだという言葉が聞きたくて
早く、本当に俺だけのものになって欲しかった
だからこそ、樹が新にした行動に酷く腹が立って
新も、いつになっても樹を拒もうとしなくて、
あいつはそれを "仕方ない"の一言で誤魔化した
その言葉を聞いた時、また腹の中から怒りが込み上げてきて
また新にそれをぶつけてしまった
その勢いで新を犯しては泣かせて
樹が入ってきても止められなくて
その時、新は俺に必死に言葉を求めてきたけど、
俺は応えなかった
俺の為に泣けばいい
俺を思い傷付けばいい
そうやって俺の事を考えて
離れられなくなればいいと
心のどこかで思ってる自分がいた
“・・っ、もぅ、・・・くる、しいッ・・うっ・・・”
でも、我に還り
その時の新の顔を見ると
俺は、本当に最低だと 酷く思った
「・・・・・」
何も言ってやれなかった
言えるわけなかった
散々大事にするって言ったのに
あいつに向ける気持ちが大きくなればなる程
新を俺で縛りたいと思う気持ちも大きくなって
自分が止められなくなる
俺はいつも、傷付けてしまった事に気付くのが遅くて
大切な事に気付くのは
いつもあいつが泣いた後だった
「・・・・新」
だからその時
俺は新の側に居たらいけないと思った
今でさえ、あいつの事を思うと
俺だけしか見れないようにしたくて
どんな事をしてでも
新の目を俺に向けさせたいと思ってる
それが、酷く泣かせる事になっても
俺は好きになればなる程
相手を泣かせてしまう奴だと思う
こんな気持ち初めてだから
うまく言えねえけど
泣く度に、俺を思い出せばいいと
そんな最低な事を俺は思ってる
だから、好きな奴が自分のモノになったら
俺は一体どうするんだろうと考えると
手に入れたら最後、抑えていた思いが溢れて
本当にあいつを壊してしまいそうで
あいつの気持ちを聞くのが怖くなった
「・・・・・最低過ぎだろ・・・」
だから、逃げたんだ
あいつが俺に向けてくれてる思いに
気付いているのに
それを受け入れるのが今は怖い
樹は、俺と本当によく似た考えをしてるけど
あいつは本当に優しい奴だ
樹は相手を泣かせるような事は絶対にしない
それが好きな奴だとしたら尚更
だけど、俺は違う
本当にガキなんだよ
手に入れた時、
それをどう愛して行けばいいかが分からない
どんなに優しくしたくても
大切にしたくても
きっとそれ以上に泣かせてしまうし
辛い思いをさせては傷付けてしまう
俺はきっと、沢山嫉妬するし
その度にまた暴走して、
いつか本当に新を壊してしまったら・・・
「・・・・・っ」
新にとっての幸せは・・・何なんだ
このまま、俺が側に居ても
与えてやれない事なんじゃないのか
だから・・・・俺じゃ駄目なんだ
「・・・・新」
きっと、お前を幸せに出来るのは
樹だよ
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