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ずっと聞きたかった言葉
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本当に俺は、言いたい事が中々言えなくて
いくら覚悟を決めてもその時になると
また変な意地を張っちまったりして
俺はきっとこいつを無意識に傷付けていた
態度で示せば、それで伝わってると思ってた
いつか、不意に自然と口からその言葉を言えたらいいと思ってた
でも、それじゃ駄目なんだ
「・・・っ・・成海・・・」
ちゃんと、言いたい時に
伝えたい時に言わないと駄目だったんだ
「・・・すき・・・」
その言葉を口にすると、
また俺の中で、こいつへの気持ちが溢れてきて
「・・・ヒック・・・好き、だ・・」
今まで言えなかった分
口から零れるようにして好きと呟いた
「・・・・」
「ぅっ・・・成海が・・っ、好き」
「・・・・・」
なのに、やっぱりこいつは何も言わなくて
「・・・・新」
ただ、辛そうな声で名前を呼んで
俺の頬に触れてくるだけだった
「・・・うっ、・・・す・・・き」
「・・・・」
本当に、もう伝えても駄目なのか
今更こんな事を言っても、お前にとっては何ともなくて
お前の中には、もう俺は居ないのか
「・・・っ・・・成海・・・」
こんなにお前の事が、好きなのに
「・・・もぅ、俺の事・・・き、らい・・・?」
そんな言葉、聞きたくないのに
何も返事をしてくれないこいつに
不安になって、傷付くのを覚悟でそう聞いた
「・・・・・」
「っ!?」
その時、眼鏡に頭を引き寄せられて
眼鏡の体の上に倒れた
「・・・な、成海・・・?」
こいつの肩に顔を埋められ
「・・・・」
そして、眼鏡は何かを呟いた
「・・・・飽きた」
「・・・・っ」
耳のすぐそばで、その言葉が聞こえて
「・・・っう・・・」
やっぱりもう駄目なんだと、思っていた時
「そんな事・・・思った事ない」
「・・・・え・・・」
「疲れたとか・・・要らないとか
・・・めんどくさいなんて・・・」
だんだんと、こいつの声は震えてきて
もう片方の手が、俺の背中に回って
「・・・そんな事、一度も思った事ない」
「・・・っ」
俺を強く抱き締めてきた
「・・・新・・・・」
そして、眼鏡から俺の耳に
冷たい何かが流れてきて
「・・・・好きだ」
少し顔をこいつの方へと向けると
「好き・・・だ・・・」
眼鏡は、少し泣いていた
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