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忍、墓穴を掘る
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文化祭の日、先輩達があんな事になってる間
僕だって相当酷い目にあってたんだ・・・
「秋人君離してっ!」
「暴れんなって、落ちるぞ」
「っ・・・」
あの後、会長達の所へ行こうとしたのに
秋人君に無理やり抱き上げられて
そのまま学校外へと連れ出された。
最初は暴れて抵抗したけど、校門を出るとその気力があっという間に無くなり、
まるで捕獲された宇宙人のように
僕は全身の力を抜いて秋人君に身を委ねている。
足が使い物にならないんじゃ、どうすることも出来ないし
もうこの人が僕の言う事を聞かないのは分かり切った事だ。
諦めよう
諦めるけどさ・・・・
「せめて・・・制服にくらい着替えさせてよ」
秋人君には聞こえない声で、僕はボソっと呟いた
どうして、こんな格好のまま
お姫様だっこなんてされなくちゃならないんだよ
男としての恥だよ・・・
「秋人君・・・一応聞くけど、これからどこへ行くつもり?」
「お?あぁ、まずは病院だな。その足看てもらったほうがいいだろ」
馬鹿か。こんな格好で病院なんか行ける訳ないだろ
これじゃただの変態じゃないか
「びょ、病院はいい・・・こんな格好じゃ行けないよ」
「はぁ?なんでだよ。別に変じゃねぇぞ」
そういう問題じゃないんだよ
「変態だと思われる・・・」
女装した男が不良に連れられて病院なんて行ったら最後
色んな意味で僕の人生は終わりだ
ただでさえ、道ゆく人たちに痛い視線を浴びせられてるのに
「なんだよ。そんな事心配してんのかよ」
「へ?」
交差点で立ち止まった秋人君は
いきなり僕の顔を覗き込んできた
「な、なに?・・・」
あまりに真剣な顔で僕の事を見てくるから
何だろうと思ってそう尋ねると
少しだけ秋人君は笑って、やがて口を開いた
「お前が変態なら、その変態を抱えてる俺ももれなく変態だ。
病院の奴等には、お前にこんな格好させたのは俺だって言ってやっから。
お前は何も心配しなくていいんだよ」
「・・・・・」
なぜドヤ顔でそんな事を言う
なにもカッコ良くないよ秋人君
僕が言いたいこと全然分かってないよ
「と、とにかく・・・病院には行きたくない」
「あぁ?なんだあ。ワガママだな」
ワガママ??
ごめんなさいね秋人君。その言葉にイラっと来たよ
嫌がる僕を無理やり連れ出したのはどこのどいつだよ
「じゃあ忍の家行くか」
「・・・こんな格好で帰れないよ」
帰れる訳ないだろ
お母さんに破門されちゃうよ
「あ、秋人君の家・・・行きたい」
「俺の家?」
もうこんな事になったんだ
少しくらい本当のワガママを聞いてもらうよ
「うん・・・迷惑じゃないなら」
幸い秋人君の家には小夏ちゃんと春人君も居るし
二人きりって訳でもないし
適当に要らない服でも借りて
そのまま家に帰ろう・・・
「おー、そうだな。いいぞ!
ちょうど小夏と春人は婆ちゃんとこ預けてるし、
二人でゆっくりするか」
「えっ!?こ、小夏ちゃん達居ないの??」
「おう。泊まりに行ってるから明日の夕方まで帰って来ねえよ」
な、なんだとっ!?
そんなっ!それじゃ本当に二人きりになってしまうじゃないかっ
「あっ、や、やっぱり僕帰るよ・・・」
「はぁ?なんでだよ。折角なんだから二人で話でもしようぜ。
ついでに足も看てやるからよ」
いいよっ!もう足なんていいよ!話す事も無いよっ
お母さんに破門されてもいいから
君と二人きりになるのだけは嫌なんだよ!
「で、でも・・・」
「着いたぞー」
早っ!!
「えっ、もう着いたの??」
なんで秋人君の家に行くと決まったら
こうも到着が早いんだよっ!!
おかしいだろ!瞬間移動でも使ってんのかよ!
心の準備出来てないよ!!
「待ってな。鍵開ける」
「・・・・・」
・・・・最悪だ。
自分で逃げ道を作ろうとしたのに
逃げ道は奈落への落とし穴だったよ
「よいしょ、っと・・・忍、入れよ」
女装なんかして、しかも不良の家に自分から行きたいなんて言ってしまって
どうぞ食べて下さいと言ってるようなもんじゃないか・・・
「忍?」
あぁ。なんかもうどうでもいいや・・・
所詮僕に良いことなんて起こりはしないんだ
「・・・お、お邪魔します(泣)」
もう・・・どうにでもなれ
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