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分からないよ
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耳元で予想もしていなかった言葉が聞こえたから
どうしていいか分からなくて
「と、友達としてっ?」
目はまだぐるぐる回ってるし
頭も混乱してるから声もいつもより高く張り上げてしまう
「は?ちげぇよ」
「じゃ、じゃああれだよね!犬とか猫が好きーっ!って感じの・・・」
「忍は犬や猫にキスすんの?」
「や・・・・そ、じゃなくて」
キスと言う言葉を聞くとさっき秋人君にされた事を思い出して
顔からプシュ〜という音を立てて熱が蒸発し出した
「猫にキスしたら毛玉詰まるぞ」
「いや、だからすみません。はい。」
変なところに食いついてくる秋人君の言葉に
ようやく僕も少しだけ落ち着きを取り戻してきた・・・?
「・・・・ど、・・・ど」
いや、そんなわけなかろうまだ混乱してるよ
「忍?」
どうして僕を好きになった!?
いつ!?どのタイミングで!?
僕好かれる様な事したか??
「ど、どうして僕なんか・・・」
僕なんか好きになる要素なんて一つも無いのに
「はぁ・・・・・・忍?」
「ほへ?」
下を向いて秋人君の背中を見ていたら急に体を離されて
秋人君はため息をついて僕の両肩に手を置いた
「なんかとか言うなって」
「で、でも!わ、分からないよ!僕の事が、好き・・・なんて」
僕を見てにこっと笑った秋人君に向かい
またそうやって声を張り上げてしまった
「好きに理由なんているのか?」
「理由というかっ・・・なんというか・・・」
おかしいだろ・・・
僕と秋人君の内、相手に好意を抱く様になるとしたら
確実に僕だったはずだ・・・
秋人君は不良のくせにいい兄で・・・
家事全般出来て、僕を悪い不良から助けてくれて
悔しいけど君は本当にいい不良だよ・・・認めるよ
僕が秋人君を好きになる瞬間ならいくらでもあったはずだ・・・
なのに・・・
「や、やっぱり分からない・・・」
「なにが?」
「・・・っ」
自分の良いところなんて一つも見当たらないし
逆に嫌われるような事しか僕はしてないのに
「か、帰る・・・」
「え?おい忍!」
「っ!?」
肩に置かれた手を払って、立ち上がろうとしたら
怪我をした方の足に体重を掛けてしまい
そのまま倒れそうになってしまった
「おい、まだ足が・・・」
それを支えられてまた秋人君と顔が接近する
「〜ッ!」
「ちょっおい忍!!」
足なんかどうでも良くなって
痛いのを覚悟で僕は秋人君を突き飛ばして一目散に逃げた
秋人君の家を出てすぐにタクシーを捕まえて
自分の家に帰ると猛スピードで自分の部屋のベッドへとダイブした
「忍〜??あんたタクシーで帰って来たの??」
一階から、お母さんの声が聞こえる
そ、そうだっ!タクシー代っ
「っ!」
また慌ただしくベッドから飛び出して机の引き出しを開け封筒の中のお金を取り
これまた猛スピードでタクシーへ戻って支払いを済ませ
また風の様な早さで部屋に戻った
「・・・痛っ」
ようやく一息つくと、また足首がズキズキと痛み出す
「・・・走ったから仕方ないか」
何をしてんだ自分。と思いながら
ベッドにパタリと倒れた
「包帯、取れてない」
視線をまた足にやると
さっきまであんなに激しく走り回ったのに
包帯は1ミリもズレてなかった
「ほんとに器用なんだ・・・」
また、秋人君の顔が浮かぶ
「・・・や、やっぱり分からないよ」
着ているシャツから、秋人君のにおいがして
まだ抱き締められてる気分だ・・・
「っ・・・先輩」
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