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抑えなくちゃいけないのに
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今日の放課後、借りてた本を返却しようと
図書室に足を運んだ
その時、図書室の奥で上の本棚に
必死に手を伸ばす新を見つけた
精一杯背伸びをして
時々ピョンピョンと飛び跳ねて
本を取ることに必死になる新の背中
可愛くて、もう少し見てたかったけど
流石に手を伸ばさずには居られなくなって
新が取ろうとしてた本を
僕は本棚からスルリと抜き取った
本を渡すと、新は本から僕に視線を移して
少しびっくりした顔をしている
「会長っなんでここに・・・」
「ふふっ、居たらいけないかな?」
「いや・・・そういう事じゃなくて」
新は少しだけ顔を赤くして
視線を僕から地面へ落とした
そう言えば、新と二人で話すのは久しぶりだな
自分から新に声を掛けないようにしてたし
こうして二人になると
もう少し話しをしていたくなる・・・なんて
「会長・・・」
そんな事を思っていると、新は顔を上げて
僕の顔をじっと見てきた
「・・・・新」
その新の目に、僕はまず意識を向けた
手を伸ばそうとしたら、新は少しビクっとして
また僕から少しだけ離れた
「えっ?な、なんですか?」
手を伸ばそうと?・・・
僕は何をしてるんだ
無意識に新の頬に触れようとしてしまった
「・・・っ」
その手をまた体の横に添えて
何事も無かったかのように
新へ笑顔を向けた
「目、どうしたの?」
先程気になった事を聞いた
目が少し赤い・・・
「あっ、と、これはその・・・」
「寝てないの?」
「は、はい・・・実は・・・明日眼鏡と・・・」
新は更に顔を赤くして、指で頬を掻いている
そして、新の言った言葉に
また僕の胸の中がざわっとした
「・・・眼鏡って・・・成海?」
少しだけ声のトーンを下げると
新はしまったと言う顔をして
また下を向いてしまった
「・・・・・はぃ」
「・・・そっか。明日成海と会うんだね」
緊張して寝れなかったのかな?
ふふっ・・・可愛いな新は
「その・・・すみません」
クスっと笑っていると、新は小さく謝ってきた
その新を見ると、僕に対して
申し訳ないと言ってるように見えてしまった
「謝る事じゃないよ。
成海と君は付き合ってるんだから
僕の前でも堂々としていいんだよ。」
ほんと、何をしてるんだ僕は
新に気を遣わせるなんて
「でも寝ないのは良くないね。
今日はもうお帰り。
日野の勉強は僕が見るから」
新を応援すると決めたんだから
ちゃんと背中を押してあげなくちゃいけないのに
「えっ?で、でも・・・」
「明日は大事な日なんでしょ?
帰ってゆっくり睡眠を取って。」
にこりと笑って新にそう言うと
新は少し下を向いてまた小さく呟いた
「ぁ・・・・ありがとうございます」
「うん。いいよ。」
そっと新の頭を撫でると
顔を上げて、新はにこっと笑った
僕がずっと好きだった新の笑顔
見ると、胸がぎゅっとなって
穴の開いた心が満たされていく感覚がする
「でも会長、俺ちょっと悔しいです」
そのポカポカした感覚に少し浸っていると
何やら新はムスっとして
また本棚へと体を向けた
「ん?」
「俺だってこれくらいの高さ届きますよ」
そして、さっきと同じ高さの本棚へと
ぐっと手を伸ばし始めた
「新?」
「んんっ・・・もうちょい」
そして、新がピョンっとジャンプして
「ほらっ!取れ・・・た」
その本を手に取った瞬間
「新っ!」
バランスを崩して、新は後ろに倒れそうになった
「っ!」
すかさず、僕は新の体を抱きとめ
そのまま僕も地面に倒れてしまった
「あっ、か、会長っ!!」
新が、僕の上に乗って
慌てて僕の顔を覗き込んで来る
「す、すみませんっ俺っ」
「っ・・・大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないです!本当にすみません!
どこか打ってませんか??」
本当に、全然平気なのに
新はあわあわと慌てていて・・・
「い、今誰か呼んで・・・」
僕の事を心配して必死になる新を見ると
このまま、ずっと僕だけを見ていてほしいと
思ってしまう
「っ・・・・か、会長?」
気付けば、僕は新を抱き締めていた
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