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眼鏡と映画
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もし俺に彼女が居たら、
確かに初めてのデートは無難で安全な映画を観にいくだろう
俺は恋愛初心者だしな。
だけどさ、女慣れしてそうな眼鏡に
まさか初デートで映画館に連れて来られるとは思わなかった
「・・・初心者だな」
「は?」
ボソっと呟くと、眼鏡は目を細めて俺を見てきた
「初デートで映画館はねぇだろ」
ベタベタじゃねえか
「一日中ゲーセンよりマシだろ」
「・・・・・」
眼鏡にしてはなんて初々しいおデートプランだ。
なんて思っていたら即答でそう返された。
そして眼鏡は映画のポスターを見渡し始める
「つか、明日は家でDVD鑑賞なんだろ。
なのに今日映画観るとかどうなんだよそれ」
ゲーセンに不満を感じている様な眼鏡に
俺は少し小馬鹿にしながらそう言ってやった
だってもっとあっただろ。
水族館とか動物園とかさ
いやそれもベタだけど
つか、お前は今までの彼女とは
デートの時どこに行ってたんだ?・・・
急にそんな事が頭に浮かんで
胸の辺りがモヤっとした
「今日は土曜だからどこも混んでるだろ。
ゲーセン行きたいならあんまり遠くには行けねぇしな」
「・・・・・・た、確かに」
俺の行きたい所を優先して
ちょうど良い時間になるまでの
映画は繋ぎなんだと気付くと
何故かまたモヤっとした
「で、何観る?」
眼鏡は今までもこうやって
彼女の行きたい所を優先して
彼女の為にデートプラン立てたりしてたのかな
「・・・・あれがいい」
モヤモヤする中
適当に一番手前にあった映画のポスターを指差した
「ん。じゃあチケット取ってくるから
ちょっと待ってて」
「あ、じゃあお金・・・」
「いいよ。俺出すから」
「は?」
眼鏡は財布を出そうとした俺の手を止めてきて
そのまま受付カウンターに行ってしまった
そして、慣れたようにチケットを購入している
「・・・・か、かっこつけやがって」
またモヤっとする
「新、すぐ上映だってさ」
「へい」
「??」
「・・・・・」
変な返事をした俺を眼鏡は不思議そうに見つめて来たけど
俺は眼鏡の顔を見れなかった
彼女にも、奢ったりしてたんだろうな・・・
なんて、またそんな事が頭に浮かぶ
「ほら、ぼけっとすんな」
「・・・っ」
立ちすくんでいた俺の手を
また眼鏡に引っ張られ、そのまま映画館の中へと入った
中は薄暗くて、他の映画の予告が流れている
そして手を引かれるがまま俺は席に着いた
左隣は眼鏡。
「あ〜、飲み物とか買ったら良かったな」
座るなり、眼鏡はため息をつきながらそう言った
「ポップコーンもいるだろ」
「それはいらねぇ。手が汚れるし
何より食べる音がうるさい」
「・・・・・」
あ、これはモヤっではなく
イラっとした
映画=ポップコーンだろが普通は
なのになんだよ。手が汚れるって
音なんてそんな気にしねぇよ。お前くらいだよ
映画の楽しみ方を知らねえんだな。と
眼鏡に哀れな視線を向けると
「まぁ、新が食べたいなら買って来るけど?」
こいつはそんな事を言ってきた
不覚にも・・・キュンとした
「い、いらねぇよ」
薄暗いから、眼鏡の顔はあんまり見えないけど
何故か変に優しいこいつの声と
俺に対しての気遣いに調子が狂いそうになる
「始まるぞ」
やがて通路を照らしていた赤いライトも消え
より一層、辺りは暗くなった
朝からこいつの事ばっか考えてて
モヤっとか、イラっとか
キュン・・・とか・・・
色んなモノが心に積もって腹が立ってた俺は
とりあえず映画に集中しようと思い
スクリーンに目をやった
「・・・・え?」
だけど、始まった映画を見ると
何故か頭の上に沢山ハテナが浮かんだ
「ちょ、なんでこんな映画なんだよ」
「は?新がこれがいいって言ったんだろ」
「え?」
そして、先程の事を思い出した
「あ・・・」
そう言えばさっき、眼鏡に何を観る?と聞かれて
俺は適当に映画を選んだんだった
「何?これじゃなかった?」
「こ、これでいいっ」
うっわ・・・・せっかく映画を観に来たなら
もっと色気のあるやつ選べば良かった(泣)
馬鹿だろ俺。あほだろ俺・・・っ
「前から気になってたんだよな!この映画!」
なんで・・・眼鏡なんかと
「・・・“SENGOKU”か。
お前ってこういうの好きなんだな」
時代劇なんか観てるんだ。(真顔)
「・・・・へい(泣)」
色気のくそもねぇよ・・・
普通好きな奴と映画なら
恋愛モノとか観るだろっっ
そんで良い感じにチューとかさ!
ラブシーン入った時にチューとかさっ!(二回目)
こんな映画じゃ・・・
ぜってぇそんな流れになんねぇ(泣)
まぁ、時代劇は確かに好きだけど・・・
「・・・・な、なぁ」
「ん?」
お前、時代劇興味無いだろ。
「この映画、お前は興味あんのかよ?」
「いや。無い」
だよな!
「なら、なんでこれにしたんだよ」
「なんでって・・・」
興味ねぇなら、観ても面白くねぇだろが
「新が好きなものを俺も好きになりたい。から?」
「は?・・・」
「つかなんでもいいだろ。前観ろよ。話進んでんぞ」
「・・・ほ、ほほぅ」
俺が、好きなものを??
「〜〜ッ」
その言葉を聞いて数秒後に
ボンっと顔が熱くなった
「初っ端から戦かよ」
眼鏡は真剣にスクリーンを観ながら
映画の内容にツッコミを入れた
「っ・・・」
不意に眼鏡は小っ恥ずかしい事を言うし
へ、変に優しいしっ
心臓がドキドキしてうるさい
ポップコーン食べる音より絶対うるさい!
「着物か、エロいな」
「・・・・。」
まぁ、時代劇の中で出てきた着物を纏った女優を見て、
眼鏡は少し笑った声でそう言った
なんだよ。女の着物見たくらいで
そんなにやにやしやがって
恋愛モノの映画にしなくて良かったぜ。
絶対こいつ女優見て今よりにやにやするハズだ
「・・・エロ眼鏡が」
「なに?」
「・・・・っんでもねえよ」
やべ。眼鏡って言っちまった・・・
けど、聞こえてねぇよな?
つか、俺も何女優なんかに嫉妬してんだよ。馬鹿か
あー駄目だ。眼鏡が隣に居るせいで
全然映画に集中出来ねえ
真剣にスクリーンを見つめる眼鏡と
全く集中出来てない俺。
「結構面白いな」
「そうだな。(泣)」
映画の内容に付いていけない状態で、
暫くスクリーンを眺め続けた
もう、何なんだよこれ。
内容が進んで行く中で
お色気シーンの一つも流れない映画に
少し嫌気がさして来た。
いやいつもなら、好きな時代劇を
食いついて観るけど・・・
今は集中出来ねえよ。
そう思っていた時
左側の肘掛けに目がいった
肘掛けは半分だけ空けられていて
眼鏡の綺麗な手がポツンとあった
『と、殿ぉおおお!襲撃でござる!』
映画はどうやらクライマックスに差し掛かったらしく
眼鏡も おぉ〜 と声を漏らしていた
「・・・・」
俺の方を全く見ない眼鏡にまた腹が立って
俺はそっと肘掛けに手を置いた
『り、倫太郎だけでも・・・逃がしてくれ・・・っ』
『いけませんっ!殿もご一緒でなければっ』
だんだんと映画は最高潮へと近づく
そんな中で、俺は眼鏡の手にそっと触れた
『と、殿ぉおおお!火が、火がぁああ!』
主人公の殿様の城が燃え盛る中
俺の心臓もボーボーと燃えてくる。
色気の無い映画だけど
流石にちょっとは触りたい。し・・・
触ってほしい・・・
眼鏡の手をきゅっと握ると
こいつもすぐに握り返してきた
「この殿、馬鹿だな。
普通あれくらいの戦略気付くだろ」
「っ・・・」
だけど、眼鏡は相変わらずスクリーンばっか観てて
手は握って来るけど俺を全然見て来ない
ムカつく・・・
また、俺だけドキドキしてる
なんて思っていたら、
「なっ・・・」
俺の指にスルリと指を絡めてきて
そのまま眼鏡はまたきゅっと握り締めてきた
そして、ようやく俺の方を見た
「新、ちゃんと観てんの?」
「み、観てるよっ」
「・・・・・・ほんとに?」
眼鏡はにやにやしながら
俺の指をスリスリしてくる
手先に感じるその感覚に
背筋が少しだけゾクっとした
「ふっ・・・手に汗かいてる」
「う、うるせぇっ・・・今クライマックスだぞっ
ドキドキしてんだよっ」
いやらしく指を絡められ、恥ずかしくなって
俺はふんっとスクリーンへと顔を向けた
「・・・そうだな」
すると、眼鏡はいきなり俺の肩にもたれかかってきた
「ちょっおま「ドキドキする」」
(((((((((バッキュンっ!!!
ふぉっ!!ヤメロっ!
俺は映画でドキドキしてんだよ!
断じて眼鏡にドキドキなんてしてない!!
「新・・・」
「な、なななななんだよっ」
やばい・・・くそっ、肩に眼鏡がっ
眼鏡の体温がっ
つか髪くすぐってぇっ
名前を呼ばれたが、俺は緊張しまくって
とにかくテンパってんのを誤魔化そうと
スクリーンを観続けた
『ま、まさかっ・・・お主が裏切ったと言うのかっ』
ちょうどそのシーンは、殿様が裏切られ
討ち取られそうになる場面だった
俺は眼鏡に討ち取られそうだ。
とにかくもう早く映画終わってくれ。
「・・・・っ」
ドキドキが、増してくる
「・・・・新」
「ふぇ?」
『お、おのれぇえええええ!!』
そして、殿様が胸を矢で射抜かれた瞬間
「っ!?」
俺は眼鏡にキスをされ
眼鏡に心臓を射抜かれた
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