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眼鏡とゲーセン
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あの後、眼鏡はご丁寧に舌まで絡ませてきて
殿様が苦しそうに唸るシーンの中
俺は酷く恥ずかしい声を漏らしてしまった
いや、時代劇を観ながらなんでこんな流れになった。
と、キスが終わった後に思った。
他の客の視線がチクチクと肌に刺さってきて
とにかく恥ずかしかった。
まぁ周りに居た奴は全員おっさんだったけど・・・
「いつまで拗ねてんだよ」
「拗ねてねぇ」
おっさんに囲まれて、
なんであんな激しいキスなんかしなくちゃならなかったんだよっ
フレンチにしとけよ馬鹿眼鏡が!
「・・・ならいいけど」
「・・・・っ」
結局、映画の内容は全く理解出来なかった
眼鏡の唇の感触だけがまだ残ってて
思い出したらまた顔が熱くなる
キスをしてきた当の本人は涼しい顔をしてる・・・
「昼飯どうする?」
「え?」
映画館を出ると、眼鏡にそう聞かれた
聞かれたけど・・・・全然腹減ってねぇ
「なんか食べに行く?」
「お、お腹空いてない」
どうしよ、ほんと頭の中が眼鏡一色で胸がいっぱいだ
けど・・・こいつはお腹空いてるよな?昼だし
「だから、何食べるかは、め・・成海が選べよ」
危ない。眼鏡と言いそうになった
けどすぐに“成海”と呼ぶと、眼鏡は嬉しそうに笑った
「・・・んー、じゃあ俺も要らない」
「は?」
「俺も腹減ってない。お前と一緒。」
い、一緒って・・・なんだよそれ
「じゃあちょっと早いけどゲーセン行くか」
「お、おい!いいのかよ!お腹空いてるんだろ!」
また俺に合わせてんのか?
くそ、そんな紳士的な気遣いいらねぇよ!
「いいよ。早くゲーセン行きてぇんだろ?」
眼鏡は振り向いて俺の頭をわしゃわしゃして来た
俺に、にこにこ笑顔を向けるこいつが・・・可愛い
きゅん・・・・ってまた胸が鳴る
「なら・・・ゲーセン行く」
「ん」
さっきから、ほんとに眼鏡が変だ
優しく微笑んで来たり、映画奢ってくれたり
腹減ってんのに・・・俺に合わせて我慢したり
「新、ほら手」
こうやって、歩き出す度に
周りの目を気にせず手を繋いで来たり
「・・・・・・め、眼鏡」
「ん?」
車が通る側にさり気なく回って
前から自転車が来たら、俺を背中に隠して
ぶつからねぇように守ってくれたり
「・・・お前、ムカつく」
「知ってるよ」
「・・・っ」
・・・ほんとに、いつもと違うこいつが
かっこよすぎて辛い
「着いたぞ」
「お、おう」
そんな事を悶々と考えていたら
ゲーセンに到着したようだ
到着すると、俺のテンションが上がってきた
「はっ!来たぜこの時が!」
つい先ほどまでの乙女モードから一変した俺は
ゲーセン魂に火が着き
また眼鏡への対抗心がメラメラと溢れてくる
「眼鏡!何をしても完璧なてめぇに
ようやく俺が勝る時が来た!」
「・・・・」
「今更逃げようたってそうはいかねぇぞ!
俺のゲーセンテクニックを見て惚れやがれ!」
「・・・・」
いや、この俺が乙女モードとか(笑)
危ねえ眼鏡の企みに飲まれるとこだったぜ。
紳士的に振る舞えば俺が大人しくデレデレするとでも思ったのか?
馬鹿め。・・・もうデレねぇよ
「勝負だ眼鏡!」
この四日間、俺はこの日の為に
DSやらWiiやらでシミュレーションしまくったんだ!
ゲーセンという本場でてめぇと戦う為に!
「勝負ね・・・いいよ」
「おん」
はっ。 喧嘩、カラオケに続き
俺が得意なものはそう。ゲームだ!
やっと眼鏡の負け顔が拝めるぜ
「けど新」
はんっ、と胸を張っていたら
いきなり顎を掴まれ、眼鏡が顔を近付けてきた
「?・・・な、なんだよ」
そして、俺の目をじぃっと見つめて
眼鏡はにやりと笑った
「プラス3・・・な?」
「・・・・は?」
その顔は、さっきまでの紳士スマイルじゃない
「あ、最初の合わせて今4な。」
ドSスマイル・・・
「・・・あ・・・」
眼鏡にそう言われ、俺は思い出した。思い出したら、
自分の顔が一気に青ざめていくのが分かった
「別に俺はいいんだぜ?眼鏡って呼ばれても」
「・・・・(汗)」
「楽しみだな。お仕置き」
にやっと笑った眼鏡の後ろに悪魔が見えた
そして、眼鏡は何食わぬ顔で
ゲーセンの中へと入って行く
「な、成海!」
その腕をビンっと引っ張り
俺は眼鏡を引き止めた
「なに?」
くそ・・・お仕置きなんて誰がするか!
絶対嫌だ!
「お、俺が勝負に勝ったら、
お仕置きはチャラにしろ!」
だから、なんとかして回避せねば!
「・・・・あー・・・うん。いいよ」
よしっ、勝った!
俺は勝利を確信した
「ま、勝てたら・・・だけどね」
「へ?」
確信したのに・・・
「新が負けたら、割り増しな。」
「・・・・・」
何故か背筋がぞわぞわする
異様な自信を放つ眼鏡が怖い
「・・・っ」
いや、大丈夫だ・・・
俺は勝てる・・・勝てる・・・
「じゃ、まず何で勝負する?」
眼鏡にそう聞かれ
俺は出し惜しみは無しだと自分に言い聞かせ
一番得意な射撃ゲームを指差した
「先にゾンビに殺された方が負けだ」
「ん、了解」
大丈夫だ。
こいつは視力が悪い。
つまり、目をフルに活用して
常に画面に集中し、出てくる敵を
ピンポイントに狙って撃つこの射撃ゲームは
眼鏡にとっては不利なはず。(新、ちょっと酷い)
「じゃ、始めるか」
「お、おう」
俺は、こいつに勝つ!!
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