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幸せって感じる瞬間
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「な、なんでだよ!」
眼鏡が呟いた言葉につい大声で返してしまった
「駄目なものは駄目だ。ピアスなんか開けるな」
はぁ?・・・別にいいだろが
なんでそんな不機嫌そうに言うんだよ
駄目って言われると余計に開けたくなるだろが
「開ける」
「駄目だ」
「いや、開ける!」
「新。しつこい」
しつこいってなんだよ
俺の体なんだから好きにしていいじゃねえかよ
「・・・開ける」
「はぁ・・・・だから駄目だって」
ムスっとしていると、眼鏡は俺の頭をグリグリしてきた
別に眼鏡の許可がいる訳じゃねえけど
なんでそんなに、俺がピアスを開ける事を拒否するのか気になる
「ピアスの話は終わりな。」
「・・・・・・・」
強制的に話を終わらした眼鏡は
また俺の手を引いて歩き出した
「・・・なんで・・・駄目なんだよ」
「ん?」
「な、なんでもねぇよ」
振り向いた眼鏡から顔を逸らした
「晩飯何にする?」
「なんでもいい」
「そっか・・・」
「・・・・」
スーパーに入ると、眼鏡は
食材を選び始めた
その後ろを着いて行くが
頭の中はピアスでいっぱい。
だってお揃いしたかったのに
って、何また乙女モード入ってんだ俺は
「お、お菓子見てくる」
「ん。」
頭をブンブンと振ってピアスの事を跳ね飛ばした
別にお揃いとかしなくていいよ
男同士で気持ち悪りぃ
「チョコと、スナック菓子と・・・グミ」
とりあえず適当に選んで
両手いっぱいにお菓子を抱えて眼鏡の元に戻った
「そんなに食べるのか?」
「食べる」
「・・・じゃ、カゴに入れて」
「へい」
眼鏡にカゴを差し出され
ドサドサとお菓子を入れた
「買ってくるから、待ってろよ」
「・・・・へい」
ここも、眼鏡が払ってくれた
俺情けねえ
女かよ。全部奢らせるとか
「・・・つ、次は俺が奢る」
「え?」
レジに行こうとした眼鏡にそう言うと
眼鏡はなに?っという顔で俺を見てきた
「だから、次は俺が奢るし
めが・・・成海が行きたいとこ・・・行こうぜ」
「・・・・・・」
お前ばっかカッコつけられたらムカつくしな
「・・・分かった」
また少しムスっとしていると
眼鏡はにこっと笑ってそう言った
「次が楽しみだな」
「・・・お、おう」
目を閉じて笑う眼鏡は
めちゃくちゃ色っぽい
レジの女の人も目をハートにさせてる
にこにことレジの人に笑顔を向ける眼鏡を
俺はずっと見ていた
「・・・・」
今日街を眼鏡と歩いて分かった事・・・
こいつは、本当にモテる
道ゆく人はみんな眼鏡を見てた
すれ違うのが男でも、男さえも
振り向いて眼鏡を見てた
こいつは人の目を惹きつける
待ち合わせの時、逆ナンされてたこいつを見て
胸がチクってした
そりゃ好きな奴が逆ナンされてたらムカつくし
ヘラヘラしてたのもムカつくけど・・・
そうじゃなくて・・・
綺麗な女の人の隣に並ぶ眼鏡が
凄く自然に見えて
俺なんかが、こいつの隣に居ていいのかなって
そんな事を考えると胸が痛くなった
「よし、帰るか」
「・・・お、う」
だけど、俺はこいつと付き合ってる
「新?」
「っ!?」
考え込んでいたら、また眼鏡は俺の手を握ってきた
「な、なに?」
急に手を握ってくるからびっくりして顔を上げると
すぐ目の前に眼鏡の顔があった
「ちゃんと俺を見てろよ」
「は?」
見てろ?・・・なんだ?
俺は今日一日お前を見てたぞ?
「さ、帰るぞ」
「お、おい・・・」
眼鏡はパッと向きを変えてまた歩き出した
さっきこいつが言った事が
どういう意味なのか全く分からないまま
眼鏡と一緒に歩き出した
握られた手がじんわりと暖かくなると
さっきまで考えてた事が頭から抜けていく
確かに俺は女じゃないし
こいつみたいにカッコ良くもない
でも、こいつは綺麗な女より俺を選んでくれた
「・・・へへ」
俺を見つけてくれた
「・・・なに笑ってんの?」
出会いは最悪だったけど今はそうは思わない
「んでもねぇよ」
俺を見つめて不思議そうに首を傾げる眼鏡を見ると
胸がほんわかして、嬉しくて眼鏡の手をぎゅっと握った
「・・・成海」
「なに?」
「へへ・・・呼んだだけ」
「・・・ふぅん」
にやにやしてると、眼鏡もぎゅっと俺の手を握ってくる
それがまた、たまらなく嬉しかった
眼鏡と手を繋いで歩く事、
こいつが俺を好きになってくれた事、
こいつの隣に居れる事がすげぇ幸せだって思えた
初デート。映画は時代劇だったし
ゲーセンではボロ負けしたけど
こうやって手を繋いで歩く事が
一番嬉しくて、楽しくて
幸せだった
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