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笑うな
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土日が明けて、今日から本格的にテスト期間に入る。
先週休んでしまった事を謝りに生徒会室に行くと
とんでもなくテンションの高い転校生が居て、
生徒会は知らぬ間に賑やかになってた
日野・・・先輩?だったかな
僕、あの人苦手だ(泣)
「はぁぁぁ・・・」
教室に着いて、机に体を伏せた
もう朝から頭が痛い。
ストレスで禿げそうだよ。
昨日と一昨日と、秋人君に家に呼ばれて
二日間ずっと神経を研ぎ澄ましていた。
まぁご飯を一緒に食べるくらいだったけど
幸い小夏ちゃんと春人くんも居たし。
「早く飽きてくれないかな・・・」
まさかこのまま三年間
ずっと秋人君に怯えながら過ごすなんて
そんなの嫌だ
早く僕の事を飽きて別れてほしい。
「・・・勉強しなくちゃ」
あの人の事を考えると頭が痛くなるから
とりあえず先週休んでしまった分を
取り返そうと、僕は教科書を開いた
「おっす」
「!?」
その時、急に教室の扉が開いて
僕の方に誰かが声を掛けてきた
「渋谷君・・・」
振り向いて見てみると、渋谷君だった
「相変わらず早えな」
「し、渋谷君こそ・・・今日は早いね」
「まぁ、たまにはな」
「・・・・」
「・・・・・・」
「・・・」
・・・・ど、どうしよう。会話が無いよ
まさかこのタイミングで
君が来るなんて思わなかったよ
いつもは点呼五分前に来てるのに・・・
「・・・・(汗)」
まだ教室には僕と渋谷君しか居ない
気まずい。恐ろしく気まずい。
「あっ!そ、そうだっ」
「ん?」
シンっと静まり返った時、
なんとかこの空気を脱しようと
僕は渋谷君に声を掛けた。(嫌々ね)
席に座った渋谷君の方へと近付き
先週僕が居なかった時の授業ノートを
貸してほしいと言ってみた
「お?・・・あぁ、それなら・・・」
そしたら、渋谷君は少し笑って
何やら新品のノートを僕に渡してきた
「え?・・・」
そのノートを見て僕は驚いた
「やるよそれ。大崎の分のノート、別で取っといた。
全部の教科それに写しといたから
多分ある程度はそれ見れば分かると思うぜ」
「・・・へ?」
全部の教科??
そう言われて、僕は慌ててノートの中身を見た
びっくりした。僕が休んでいた分
その日あった授業内容が事細かくまとめられていた
「へへっ、お互い成績上位を維持しような!」
「っ・・・」
そう言って笑った渋谷君はマブい。
ちょっと、見直したよ・・・
感謝するよ。君の事はムカつくけど
「あ・・ありが・・・と」
「おう!」
またニコッと笑った渋谷君の顔は
いつもより何故かツヤツヤしてる
・・・ん?・・・ツヤツヤ?
「し、渋谷・・・君」
「お?なんだ?」
あれ・・・待てよ・・・
なんだ?・・・なんでだ?・・・
「大崎?」
なんで・・・渋谷君から・・・
「先輩の・・・におい」
「へ?」
僕がそう呟くと、渋谷君はその後すぐに顔を赤くした
「げっ!お、俺そんな臭うか!?」
慌てて自分の体のにおいを嗅ぎ出して
何かをボソボソと呟いていた
「・・・っ」
駄目だ・・・心臓がドクドクする
「くそ、あいつと登校すんじゃなかったぜ・・・」
あいつ?・・・上城先輩の事?
二人で登校したって事?・・・
「せ、先輩と・・・」
なんで・・・・
「ん?」
「その・・・もしかして」
なんで君なんかが・・・先輩と・・・
「つ、付き合ってる・・・の?」
気が付けば、そう口にしていた
渡されたノートを掴む手に、ぎゅぅっと力が入った
「えっ!?・・・っと・・・」
渋谷君は更に顔を赤くして
指でぽりぽりと頬を掻いている
「ま、まぁ・・・なんだ」
嫌だ・・・
「あ、あの野郎がしつこくてな!
・・・仕方ねえから・・・その・・・」
聞きたくないよ
「・・・う、ん。」
渋谷君は、最初誤魔化そうとしてたけど・・・
最後の『うん』は
下を向いて耳まで真っ赤にして
先輩の事を好きだと全身で言ってる気がした
「大崎?」
君は・・・先輩が嫌いなんじゃなかったのか?
「お、おい・・・」
別に最初は良かった
君と先輩が二人でいるところを
僕は遠くで見るだけでも
先輩を眺めてるだけで、僕は幸せだったよ
だけど・・・それは君が先輩の事を
好きにはならないと思ってたから
きっと、先輩だって本気じゃないって
思ってたから・・・
なのになんで・・・
「大崎は、秋人とどうなんだ?」
「っ!!」
その言葉を聞いた瞬間、
また心臓がドクンと鳴った
「あ、う・・・うん。」
手が震える・・・
今、秋人君の事を聞かれたく無い
「じゅ、順調だよ」
とりあえず必死に作り笑いをしてそう答えた
「・・・そ、そっか」
落ち着け・・・今は落ち着け
別に二人がくっついたからって
前と同じ状況なのは変わらない
僕は、またこれからも
二人を眺めていればいいんだ
「へへ・・・よかった」
順調と言ったら、渋谷君は安心したように笑った
笑うなよ・・・
僕は嫌なのに付き合ってるんだ
君は好きな人と・・・先輩と付き合えて
本当に幸せだろうに
「秋人さ、本当にいい奴だからよ。
まぁちょっとアホだけど・・・」
僕がどんな思いで秋人君と付き合ってるか
どんな思いで先輩と君を見てるのか
全然知らないくせに
「あいつの事。頼むな?」
そんな奴が・・・本当に僕を祝福するみたいに
嬉しそうに笑い掛けて来るなよ
「あ・・・うん・・・」
僕は秋人君なんか好きじゃないし
付き合いたくもないのに
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