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証
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いきなり新から電話があったかと思えば
電話に出るなりあいつの声は泣いていた
すぐに迎えに行こうとしたけど
今から俺の家に来ると言って新に電話を切られた
何があったのか分からねえけど
あいつが泣くなんて・・・
「・・・置いて帰るんじゃなかったな」
そう考えるとため息が零れた
今日の放課後、俺は親父に呼び出されて
そのまま家に帰って来てしまった
だけど新からあんな電話があるくらいなら
親父からの呼び出しなんて断れば良かった
なんで新が泣いてるのかが気掛かりで
俺はさっきからずっと部屋の中をグルグルしてる
【〜〜♪〜〜♪】
「!!」
やがて家のインターホンが鳴り響き
俺はすぐに玄関へと向かった
そしてガチャリと扉を開いた
「・・・っ!?」
「・・・・・・・」
「あ、新・・・?」
扉を開くと、新は俺の胸に飛び込んできた
物凄い力で抱きつかれたから
俺はそのまま玄関に腰をついてしまった
新は顔を俺の胸にぴったりとくっつけて
またぎゅぅっと腕に力を入れてくる
少し体が震えているし
外の冷たい空気のせいか、
寒さで耳が真っ赤に染まっていた
「・・・どうしたんだよ」
「・・・・」
明らかに様子が変だし
さっきから鼻水をすする音が聞こえる
やっぱり泣いてたのか
「もう大丈夫だから、顔上げろ・・・」
「・・・・・っ」
優しく頭を撫でると
新は体をビクっとさせた
だけど暫く撫で続けると
安心したのか体の力をふっと抜いた
「・・・め、眼鏡・・・」
「ん?」
そしてようやく新は口を開いた
声が震えてる・・・
本当に何があったんだよ・・・
「お、俺・・・」
「うん・・・」
「・・・俺・・・」
「・・・・・ん」
中々言葉が出ないのか、何度も息を飲む新に
ゆっくりでいいよと言ってまた頭を撫でた
少しだけど、俺の中に緊張が生まれる
いつもと違う新が不安で仕方ない
「俺・・・が・・・」
「・・・ん」
「・・・俺が・・火星人でも好きか?」
「・・・・・・・・」
「・・・・」
「・・・・・・ん?」
・・・火星人?
何故か思いもしなかった言葉が聞こえ
俺の頭にハテナが浮かぶ
「え?・・・なに?」
火星人?(二回目)
「いいからっ、答えろ・・・よ」
「・・・・」
聞き返そうとしたら
少し怒った声でそう言われ
また新は腕に力を入れて来た
「・・・好きだよ」
そんな新を見て
俺も抱き締め返してそう呟いた
「火星人でも宇宙人でも、どんなお前でも俺は好きだよ」
「う、嘘じゃ・・・」
「嘘じゃねえよ。もう嘘は付かねえって言っただろ。」
「・・・っ」
なんでそんな事を聞いて来たんだろうと
不思議に思いながらも
冷え切った小さな体を優しく包み込むと
新は少し笑った
「・・・へへ」
「ん?」
「・・・それが聞きたかっただけ・・」
そう言って俺を見上げた新の顔を見ると
俺も笑みが零れた
「落ち着いたか?」
微笑んだまま、また頭を撫でると
新は下を向いてコクっと頷いた
「そっか」
けど、絶対違うだろ・・・
お前がこんな事を聞くために
泣いて俺に電話してくるワケないだろ
「・・・成海・・・」
「・・・なに?」
相当な事が無い限り、
お前が俺の名前を呼ぶなんて・・・
「・・・やっぱり、ピアス開けたい」
「え?」
ピアス?・・・
まだそんな事言ってんのか?
「だから、開けんなって」
「開ける」
「??」
開けると言った新は
俺に拳を差し出して来た
やがて新が拳を開くと、ポトッと何かが落ちた
拾い上げるとそれはピアッサーだった
「お前に・・・開けてほしい」
「・・・」
さっきからずっと下を向いたままの新は
そう言ってまた俺に抱きついてきた
駄目だと言っても、新は頑なに首を横に振り
何度も開けろと言ってきた
「新、ピアスは・・「お前と」」
「??」
もう一度、ピアスはやめろと言おうとしたら
新は何かを言い掛けた
「お前と・・・一緒だって証が欲しい・・・」
「・・・・・」
「離れてても近くに居るって・・・証が欲しい・・」
離れてても・・・一緒の証・・・
「馬鹿か、俺は離れねえよ」
「・・・っ」
どうしてそんなにピアスにこだわるのか
最初は分からなかったけど
開けたい理由がそういう事なら・・・
「・・・とりあえず上がって。」
「っお、おい・・・開け」
「開けてやるから。」
「・・・ふぇ?」
お前がそれで安心出来るなら
「ピアス。開けるんだろ?」
お前をずっと繋いでおけるなら
その証を俺がやるよ
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