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表裏一体
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眼鏡の家に着いて、扉が開くなり
俺は思いっきり抱きついてしまった
あいつ、びっくりしてたな・・・
絶対様子変って思われたよな
けど眼鏡の優しい声と手にすげえ安心出来て
あんなに辛かった気持ちが少しだけ和らいだ
こいつは、まだ俺が
何かを隠してるって思ってると思う。
けど、何も聞かずに居てくれた。
部屋に入ると、眼鏡はすぐに
またあの甘いココアを持って来てくれて
一口飲むだけで、冷え切った体が
芯からポカポカしてきて
あいつに包まれていくみたいな感覚がして
心地よかった
ココアの入ったマグカップを両手で包み込んで
ココアから出る湯気をはぁーと吐いていたら
部屋のドアが開いて眼鏡が入ってきた
「消毒するからこっち来て」
「・・・」
そう言われて
俺は床からベッドの上へと移動した
あれ程開けるなって言われたピアスを
俺は今から開ける
ちゃんと会長との事を話さないまま
お前と一緒の証が欲しいとか
これも自分を安心させる為じゃねぇか・・・
何かでこいつを繋ぎ止めておきたくて
それを身につける事で
いつもこいつが側に居てくれるっていう
安心感が欲しいだけなんだ
ほんとに俺は自分の事ばっかだ・・・
「・・・・・・」
「・・・」
向かいには、眼鏡が座ってる
眼鏡は脱脂綿に消毒液を含ませ
それを俺の左耳に当て、丁寧に拭いてくれた
拭き終わり、耳から脱脂綿が離れると
消毒液のヒヤリとした感じが耳に広がる
本当は氷で冷やすらしいけど
俺の耳はもうすでに冷たかったから
冷やすのはいいって言った
「開けるぞ」
「・・・ん。」
やがて、耳たぶにツンと針が当たった
初めて開けるから、少し怖くなって
俺は眼鏡の腕にしがみついた
「・・・っ・・・」
すぐに、ガチンッ と言う鈍い音が聞こえて
耳たぶを針が貫通したのが分かった
「大丈夫か?」
「・・・お、おう」
そしてピアッサーが離れると
徐々に左耳がジンジンと痛み出した
「痛くねえか?」
「だ、大丈夫だ・・・」
「・・・そっか」
耳に感じる違和感を、直接手で触れると
ちゃんとピアスが貫通してる
少し触るとまたジンジンしてきた
「・・・新?」
「へへ・・・お前と一緒・・・」
まだ片耳だけど、眼鏡と一緒の場所に
俺も同じ物を付けれる
「お前と・・・一緒・・・」
「・・・・ん。一緒だ」
「・・・・・っ」
嬉しくて、涙が出そうになるのに
「?」
「・・・・っ・・ぅ」
ジンジン・・・してるのは耳じゃない
「新?・・・」
さっきから痛いのは
ズキズキしてジンジンして
締め付けられて苦しいのは耳じゃない
「・・・・ちょっと待ってろ」
「え・・・?」
ぎゅっと胸を押さえていたら
眼鏡は俺の頭にポンと手を置いて
少しだけ撫でた後、部屋から出て行ってしまった
少し不機嫌だったあいつの顔を見て
やっぱり俺がピアスを開けるのを
嫌だったのかなって考えた
「新」
「!!」
だけど眼鏡はすぐに戻って来て
俺の名前を呼ぶとまた向かいに座って
さっき開けたばかりのピアスに触れてきた
「え?・・・なに?」
「ちょっと痛えかもしれねぇけど、
我慢しろよ・・・」
「??」
眼鏡にそう言われ、なんだ?と思っていたら
「・・・っ!!痛っ」
眼鏡はファーストピアスを俺の耳から抜いた
「な、なんで抜くんだよ!」
「黙ってじっとしてろ」
「へ?」
「・・・・・」
まだ眼鏡は耳たぶを触ってて
やがて、プツンと何かが貫通する音が聞こえた
「ん。」
「ふぇ?・・・な、なに?」
耳から手を離した眼鏡は
少し満足したような顔で笑った
そして、もう一度耳たぶに触れると
ちゃんとピアスはついていた
「やっぱ、それにして正解だな」
そう言って笑う眼鏡の手には
さっきまで俺の耳についてた
ファーストピアス・・・
「え?・・・なに?これ・・・」
じゃあ、今俺の耳に付いてるのって
「ほら、鏡」
不思議に思っていたら、
眼鏡は俺に小さい鏡を渡してくれた
受け取り鏡に自分の姿を映す
「・・・・これ・・・」
そして、耳に付いたピアスを見たら
さっきまでのズキズキが
幸せな痛みへと変わっていくのが分かった
「お前が開けたいって言い出した時
いつかは・・・って思って用意しといた」
「・・・っ・・・」
少し照れながら話す眼鏡のその言葉に、
また胸がぎゅっとなる
「ちょっと早いけど、
俺からのクリスマスプレゼント」
「・・・クリスマス・・・プレゼント?」
・・馬鹿かよ・・・俺より先に
こんなサプライズしやがって・・・
「へへ・・・眼鏡・・・」
「なに?」
どうしよう・・・こんな嬉しい事されたら
「お前、やっぱムカつく・・・」
これ以上にお前を
喜ばせねぇといけねぇじゃねえかよ
「・・・知ってるよ」
俺が笑うと、眼鏡も笑って
俺を抱き締めてくれる
また全身が安心感に包まれていく
眼鏡が付けてくれたピアスは
眼鏡の黒いピアスとは真逆の
透明感のある、真っ白い綺麗なピアスだった
「・・・・・オセロみてぇ」
「ん?」
「お前が黒で・・・俺が白・・・」
俺なんか、全然白にふさわしくねぇけど
この色を見たとき、めちゃくちゃ嬉しかった・・・
「そうだな。まぁ二人で一つって事で。
これで離れられねぇな。」
「・・・へへ・・・ぉぅ」
さっきからにやけが止まらない
こいつのしてくれた事が嬉し過ぎて
幸せだ
「成海・・・」
「・・・ん?」
お前と一緒の証
これでずっと側に居られる
「・・・好き」
「・・・・・・俺も」
何があっても離れないって
二人だけの証
「好きだよ・・・新」
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