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崩壊の予兆
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新から樹と喧嘩したって聞いた日から数日が経った
本当は次の日
樹にちゃんと話を聞こうとしたけど
どうもタイミングが合わなくて
まだ一度も樹に会ってない。
最近、樹はよく理事長に呼び出されてるらしいし
俺も親父からの呼び出しが多くなり
あまり生徒会の方へ行けなくなった。
もちろん帰りも、新とはあまり帰れなくて
暫く顔も見ていない
時々電話して声を聞くくらいになってしまい
あいつに寂しい思いをさせちまってるな・・・
けど、今日は終業式だから
放課後の生徒会の活動も無いし
親父からの呼び出しも無いから
新とようやく一緒に帰れる
流石に樹にも会えるだろうし
会ったらちゃんと話を聞こう。
新には何も聞くなって言われてっけど
あいつが泣いてしまう程の喧嘩を樹としたなら
尚更、何が原因か気になる
そう考えながら、
教室に向かおうとした時だった
「・・・・・成海」
「樹・・・」
向かいから、樹が歩いてきた
会えねえとか思ってたら、その矢先に
樹とぱったり会ってしまった
樹は何故か少し驚いた顔をしてる
「おはよ」
「・・・・・」
「?」
いつもなら、樹の方からおはようと
挨拶をして来るのに
樹は険しい顔をして下を向いた
不思議に思いながらも俺はまた声を掛けた
「・・・・なぁ、樹」
多分、あいつとの事かな?と思い
俺はその喧嘩の話を聞いてみた
「新と、何が原因で喧嘩したんだよ」
「・・・・え・・・?」
そしたら、樹はまた目を見開いて
さっきよりも驚いた顔で俺を見た
「け・・・んか?」
「あいつ、めちゃくちゃ沈んでたぞ」
「・・・・・」
俺がそう言うと
樹はいつもの落ち着いた顔に戻った
なんだ?
全然怒ってねぇじゃねえかよ
「新が・・・そう言ってたの?」
「は?そうだけど。」
「・・・喧嘩・・・ね」
また下を向いた樹は小さく息を吐いて
少しだけ笑みを零した
「とにかく。口は挟まねえけど
早く仲直りしてやれよ。」
「・・・・・」
「あいつ、お前の事すげぇ気にしてたから。
会ってねぇならちゃんと会って話してやれよ」
そう言い残して、俺は教室へと入ろうとした
「・・・一生・・・仲直りは出来ない」
そしたら、ボソっとそう聞こえて
俺は教室に入る足を止めた
「は?」
「放課後、生徒会の皆に話がある。」
聞き返そうとしたら、
今度は真剣な顔つきでそう言ってきた
「話?」
「大事な話だ。成海も、君の父さんから
きっと聞いてる話だよ」
「・・・・・」
そう言われ
あぁ。あの話か、と合点がいった
「・・・分かった」
「また・・・放課後」
「あぁ」
そのやり取りを終えると
樹は自分の教室へと戻って行った
少し樹の様子がおかしかったけど
この時は、新と喧嘩してるからだと思ったから
特に気にはしなかった
「はぁ・・・やっぱあの話は
理事長にも回ってたんだな・・・」
席に着いて、天井を見上げ
先ほどの話を思い出す
俺の親父は、警察庁長官
その親父に呼び出されて
最近事細かく注意されてる話
そして、何か手掛かりがあれば
すぐに知らせて欲しいと言われてる話
「高校生を標的にした、暴力事件・・・」
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